皆が望んだから

Laziness

皆が望んだから


神は言う。



人間の最大の願い、1つを叶えると。



そうして、人類は願った。





どうか…「争いの無い世界」にして欲しい、と。







争いは消えた。


この世に在りし者、全てが全ての【争い】を無くした。


そこに在りしは、歓喜。なにせ、全ての争いが消えたのだから。


その完成された【平和】の中で、人々は違和感を始めは感じられなかった。



そう、【争い】の大切さだ…






競争の【争】は、争いを示す。





さて、今日で餓死者は何人だろう。


争いが無くなった。その瞬間それは、食料の購入を否定した。


食料を店で購入するということは、そこに店同士での客の取り合いが生じる。その取り合いというのは、いわば【競争】そう、そこに争いがある。


ならば、その争いを消し去るために【食料の購入】なんて許されない。


じゃあ、店を一つにすれば?


当然、そんな声も上がった。いやしかし、



まず、漁業・農業等の第一次産業が禁止されるのだから、元も子もない。



なんでって?


当然、【争い】がそこにあるから。


国同士で、漁業のできる範囲で【争い】が起こる。


農業で、農家同士で、農業のできる範囲の【争い】が起こる。



生じる争いは、とにかく根絶。


どんな影響が生じようとも、どれだけ死人が出ようとも。


だって、皆が望んだから。




人間、光の大切さを学ぶのは、闇に閉ざされたときだそうだ。


それならば、その逆も然りだろう



人間は、無くて改めてその大切さに気付く。



このセカイで人間は、それを思い知らされた。



本当の幸せ、平和とは何か。



…この世界は、本当に我々が望んだものなのか?



当然、人類は紛争や戦争などをなくして欲しいという思いで、これを願った。




残念ながら、争いはそこだけではない。




全人類は気付く。


この世は【争い】で回っている、と。



神は言う。


「争いの無い世界…どう」と。



人は言う。


「もし許されるなら、救済を望む」と。



神は問う。


「何故…今、幸せでしょう?皆が望んだのだから」

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