アイアンドラグーン 鋼鉄の竜騎兵
六月
第1話
ピーガガと無線機から音が鳴る。
『
「了解、起動シークエンスに入る」
カチカチとスイッチを入れると、低音の機械音鳴り出して光がコクピットを照らし出すパイロットスーツを身に纏い操縦席に座る男。
『swallow見えてる』
計器を確認していたswallowが呼ばれて顔を上げると、前方のモニターに手を振るツナギを着た女性が映ている。
「見えてる」
『swallowの希望通りにセットアップしてあるけど、無事にその子を連れて帰りなさいよ』
「感謝する、が期待はしないでくれ姉さん」
『はぐらかすなー』
彼女は整備士で自分の整備した物を我が子のように可愛がる変わった女性だ、swallowがはぐらかすとスパナを振りかぶっているが、我が子に傷を付けたくない為に手が宙で留まる。
『会話中悪いけどそろそろ時間よ』
「管制官、了解」
『swallow、帰ってきたら覚えてなさいよ』
「そうだな帰ったらな」
ツナギの女性はswallowに手を振り見送って格納庫から退出する。
『格納庫にいる人間は退避してください、繰り返します、格納庫にいる人間は退避してください』
ウーウー、とサイレンの音が鳴り響く、格納庫にいた作業者達は退避する。
格納庫の床が開き物凄い風圧が入り込んで来た、吊り下げられていた機体がそのまま外に露出する、swallowは地面に対面する様に吊り下げられていた姿勢のまま外に出される。
『放出カウントダウン開始・5・4・3・2・1』
『羽ばたけswallow』
司令官の言葉と同時に機体をロックしていた金具がガッコと音と共に外れると共にふわりと浮遊感がswallowを襲う。
数秒間の空中散歩的な事を楽しんでいたが、直ぐ様アラートがけたたましい音を鳴らして危険を報せる、地上からの対空砲がswallowを襲うが、機体の姿勢制御用スラスターを使って銃線を縫って避けていく、対空砲を避けていくと二つの別のアラートが鳴り出す、ひとつは着陸用パラシュート展開限界点アラート、そしてもうひとつがミサイルアラートである。
「パラシュートを開かなければ地面と衝突、開けばミサイルを避けられずに爆死か、それなら」
機体を操作して銀色の膜と光源を射出すると同時にパラシュートを展開する、ミサイルが銀色の膜に接触すると機体に触れる事無く空中で爆発する。
バキバキと木をなぎ倒しながらも無事に地面に降りる、直ぐにパラシュートをパージして次の行動に移行する。
「デコイのお陰で地面にキスしないで済んだか」
背中からショットガンを取り出し装填する、薬室から薬莢が装填され戦闘に備えながらコクピット内で作戦指示書が開封される。
※該当者甲は現地時間12:00より強行偵察を実施、目的は建造中の前線基地の捕捉、なお甲は偵察時に接敵の際しては迅速に無力化を図ること、以上を踏まえ現場での判断は甲に一任する。
ほぼ丸投げの作戦内容に目くじらを立てても仕方ないが、現在は派手な降下傘で既に存在を敵に知られている為に速やかに行動に移らなければいけなかった。
swallowは操縦桿を動かして機体を動かすと、直ぐ様に敵が到着を報せるアラートが鳴りレーダーに映る方角に機体を向ける、腰の部分にあるアタッチメントに腕部の接続部に填め込み装着する、ナイフの様な形状をしているが、刃の部分はチェーンソーになっている、この武器はチェインナイフと呼ばれる近接戦闘用武器である。
木をなぎ倒して三体の敵が目視で確認出来ると同時に敵の銃火器の口径が火を吹く、swallowは回避をしながらショットガンを三体の敵の真ん中に撃ち込む、一体に命中で他の二体には回避される。
残った二体がswallowを挟み込む様に機動をする、残った二体もチェインナイフを装着して接近戦闘を図る様態、swallowは二体の片方に加速して近付くチェインナイフを振りかぶる敵の背後に回り込んでチェインナイフを胴体に刺す、チュイーンと甲高い音と火花を放ちながら敵の機体を削る、更にswallowは敵の機体を盾にして残り一体に接近する、チェインナイフが刺さった敵機体の隙間からショットガンを出して撃ち込み全ての敵が沈黙する。
swallowは敵機体に刺さったチェインナイフをパージしてから、三体の敵機体から互換性のある弾丸やチェインナイフ等の消耗品を奪取してこの場を後にする。
此処でswallowが乗っている機体を説明しよう。
全長十メートル程の
しかし、それを補うほどの運用効率が戦場で他の兵器を退けて主力兵器として前線で活躍中である。
パイロットの腕がダイレクトに反映される為に、そのまま戦場での行動に直結して劇的な戦果さえも叩き出せる能力を保有している、その為に各国家等は優秀なパイロットとメカニックの確保と育成に躍起なっている。
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