只今異世界捜索中!~Capriccio Continente de Oratorio~ 第五部 コントラバスの魔女
ヅラじゃありません
第五部 コントラバスの魔女編
『コントラバスの魔女編』
人には人の考え方がある。価値観も人それぞれだ。違うか?
だが我々の目的は一緒だ。元の世界に帰る事――無い知恵と少ない才能を活かして我々はそのために行動している。
柏木君は目的のためにとった行動がたまたま、この世界を受け入れる事に繋がっただけだ。
彼が成長したのだってその副産物だ。だから気にしなくていい。
我々はこの世界の人間ではないのだ。この世界を受け入れるのに時間がかかるのは当然なのだ。
君は柏木君よりしっかりしていた。常識的だった。だから受け入れるのに時間がかかっている……それだけなのだよ。
君が今気にしているものは、目に見えるようなものではない。他人と比べるようなものでもない。
『成長』というものは、目的のために行動した過程から生まれる小さな『ご褒美』だ。
それも、なくて当たり前、あって些細な喜びが味わえる『グリコのおまけ』なのだよコノヤロー。
だからもう一度いうぞ?
気にするな。悲観するな……君は君なりに頑張っているのだろう?
ならいずれご褒美を貰えるさ。そして気づいたら今より一歩前に進んでいるはずだ。
成長とはそういうもの。焦る必要はない。
わかったかね? 日笠君――
その6-3 『グリコのおまけ』より
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