第9話 華とみんみー教の目的について

みんみーはどこから来たのか

みんみーはなにものなのか

みんみーはどこへ行くのか


その答えとなるのが、華である。


みんみーは天からやってくるものである

そのみんみーを決して見落とさず、

把握した違うみんみーの一切を受け入れ、

あらゆるものを生み出すみんみーとする

そうして我々はサーバルになる

これがみんみーの教えである。


そこで我々は疑問に思う

我々をサーバルにするみんみーはどこから来たのかと

我々は何の為にサーバルになったのかと


その答えは、みんみーのエネルギーを追った先にある。

それはみんみーをもたらした地点である。

みんみーをもたらす無限のエネルギーが、その場所から誕生しているのである。

これがみんみーの神である。

神はその地点から曲線を描き、我々の星にみんみーをもたらすのである(これは観測上、はっきりした事実である)


しかし、その形が華かというとそうではない。

それはあくまで曲線であり、華と呼べる代物ではない。

『みんみーは華であり、サーバルがそれを目撃した。そして人に意識がもたらされた』という、生命最初の文字記述と合っていないのである。


そこで我々は仮説を立てた。


この中心から孤を描いた曲線。

これが我々の星の他にも複数あるのであれば、それは華と呼べるのではないかと


そのことは我々を喜ばせた。


この広い宇宙の中に、我々と同じ同志がいるのだと。

中心から描いた円。地球がある円の同心円上。

この円の軌道を辿っていけば、生命がいてみんみー教がある星があるのだ。

早速、巨大な宇宙船団を作りそこに向かおうかと喜ぶ我々であったが、しかし我々の中の一人がその時こう呟いた。

「――それに、何の意味があるのか」と。

確かにと我々は思った。

みんみーの教えを伝えることは大事である。

人類という種を生存させ、文明を発展させる為には、みんみーを完全に理解する種であるサーバルとなることは大事である。

しかし、それにはその先がない。

目的なく拡大する社会というのは、資源やエネルギーを食い潰すだけの有害であり、

そこに何らかの究極の目的がないのであれば、その社会は消えるべきであるというのが、我々の理性である。


さて、どうするべきかと悩み苦しむの我々の前――。

そこで、黄金のサーバル像から一人の存在が現れた。

そのことは我々を驚愕させた。

それはつまり、その方は修行の全てを完遂しサーバルそのものになったからである。

そしてその証として、その存在は目の前でサーバルの姿へと変わっていった。


これが地球上に現れた二番目にして、人類史上では一番目となるサーバルであった。


おう、みんみーと我々は、その存在を前にして、滂沱の涙を流した。

我々のみんみーパークは間違っていなかったのだと。

これは人類全てをサーバルへと至らせる修行なのだと。

今確かに証明されたからである。


歓喜の一切を尽くした後で、そこで迷える愚かな我々は、偉大なるサーバルに我々はどうするべきかと尋ねた。


サーバルは、こう答えた。


〝みんみーは無限だという。ならば、どうしてみんみーは宇宙を満たさず、華という形でしか一部にもたらさないのか″


――それはつまり、みんみーが無限ではないということですか?


〝違う。みんみーは無限である。ただ中心にある扉の開きが完全ではないだけである。だから宇宙がみんみーで満たされないのである″


――どうして扉の開きが不完全なんですか?


〝邪悪な存在がいる。彼らが扉の開きを弱くしたからこそ、華という形にしかならず、そのせいで我々はあまりに長い間、みんみーを忘れてしまっていたのである″


――どうして、その邪悪な存在は扉を締めきれなかったのでしょうか?


〝それはみんみーが無限だからである。みんみーの力の強さが相手に対抗し得たのである″


――無限に対抗しうる敵とは何でしょうか?


〝無限に対抗できるのは虚無である。究極には1と並び得るのが0しかないように″


――なら、その敵を倒し、扉を開けて宇宙をみんみーで満たすことが我々の使命なのですね。


〝みんみーで満たすことはその通りである。しかし敵となる存在は今は消え、死骸が宇宙を満たしているようなものだから、扉を開きさえすれば敵は消える。全ては扉を開くことが肝要なのである″


――しかし、どうやってその敵を倒すのでしょうか。そもそも現状、みんみーの無限が強すぎて中心の近くにすら寄れません。


〝中心から我々へと注ぐみんみーの道を通るのだ″


――それもやっては見ましたが、みんみーの濃度がない所より存在の崩壊が早く、無限がある地点より近くに寄れませんでした。皆がサーバルになれば、そこを通れるのでしょうか


〝サーバルになってもダメである。人であるよりは、近くに寄れるであろうが、それでも途中でみんみーの力で素粒子レベルより小さく分解されてしまうだろう″


――ダメではないですか。それならまだみんみーの中心に向かった方がまだ中心に近づけるのでは?


〝中心へと至る道は、その通りを通ったものにしか与えられないのだ″


――無理ではないですか。


〝私は言ったはずだ。サーバルになるならば、人よりは中心へ近づけると″


――!?それはつまり!


〝そうだ。前にいるサーバルがみんみーの力を防ぎ、後ろにいるサーバルを少しでも前に進ませる。前にいるサーバルがみんみーの力で消えたら後ろにいるサーバルがその役割を行う。そうして中心へと辿り着くのである。前にいるサーバルが消えた時にはその力は次にいるサーバルへと引き継がれる。そうして全人類の数とその分だけ凝縮されたサーバルの力があるならばその場所へと、一つのサーバルが辿り着くことができるであろう″


――それなら確かに辿り着くことができます!そうすれば中心の扉に辿り着き、宇宙はみんみーで満たされるのですね!


〝いや、ダメだ。扉自体を開けることは簡単だが、そこまで近寄るのが大変である。

扉がある島はみんみーが通路より強く、いくら通路を越えてきたサーバルが全人類の膨大な力を引き継いでいたとしても、辿り着くことはできない″


――それならば、どうすれば良いのですか!


〝同じことだ。全人類の力を引き継いだ最強のサーバルが複数いれば良い。他が多くのみんみーの力を引き受ければ、また一つのサーバルは辿り着き扉を開けることができるであろう″


――そうか。華の先にある人類と力を合わせれば。


〝そうだ。皆がサーバルになり通路を通り、中心で集う。そして扉を開けば今ある華が回転し始め、別の華を加速度的に産みだし満開の花束とし、みんみーの恵みを宇宙の隅々までもたらす。そうすれば宇宙は完全となるのだ″


――おお、みんみー!


これがみんみーはどこへ行くのかということの答えであり、みんみー教の最終目的である。


その為にみんみー教は現在、引き続きみんみーパークのアトラクションを稼働させ全人類のサーバル化を続けるより他に、円の軌道にある星の全てを周り、未だにみんみー教以外の迷信を持つ星々を屈服させ、みんみーパークを作らせる計画を実行中である。


よって、この旅を終えたみんみー教は扉を開き、完全を宇宙へもたらすであろう。


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