暁金牙の報告書その3
七月二日
本日フィールが屋敷にやってきました。従者として
本題に入りましょう。フィールが奇妙な話を持ち込んできました。なんでも「皇太子様が黒人
あれほど人種差別を行い黒人を恐れている皇太子様のことです。黒人奴隷を集めているとなれば、その目的は「黒人の戦闘利用」に限られるでしょう。使用人として働かせるのですら拒絶される皇太子様ですから。黒人を戦わせれば何も失うものは無い、とでも思っているのではないでしょうか。
奴隷商人は戦闘貴族で手分けして可能な限り取り締まっています。ですがどう頑張っても奴隷商人はいなくなりません。完全にいなくなるには時間がかかるものと思われます。
捕らえた奴隷商人の話によりますと、皇太子様に仕えている氏族に奴隷を売っていたそうです。それも普通の奴隷ではなく戦えそうな屈強な黒人を。ですので、フィールの持ち込んで来た話はおそらく正しいでしょう。
陛下、どうかお気をつけください。いくら貴方様が戦えるとはいえ、心配です。護衛の数を増やすことをお考えください。フィールも陛下のことを心配しておりました。決して油断をなさらぬよう、私からも進言いたします。
今回は報告が長くなります。
銀牙と皇太子様の関係は、陛下に指摘されるまで考えもしませんでした。その銀牙が申していたことですが……皇太子様はやはり、
陛下、お願いがございます。もし銀牙らしき人物が道に倒れていると報告があれば、フィールの元に運んでください。銀牙を死なせるわけにはいきません。銀牙がいなければ、私は暁家の地位を守れないでしょう。
情けないことに、私は頭脳だけを買われて当主になりました。当主になったあとの戦闘貴族としての義務や地位を支えてきたのは他ならぬ銀牙なのです。なにとぞ、宜しくお願いいたします。
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