第121話 ビビンばぶー。

 マッシュ帝国の兵隊から追われるように逃げ、現在は海の上を飛翔している。


 「パパ。ごめんなさい。」

 「あるじ様。申し訳ございません。」


 『反省しているなら責めないでちゅ。今後、気を付けるでちゅ!』


 「うん。気を付けるね!」

 「は!肝に銘じます。」


 『それにしても、船をどうするでちゅかね?』

 『スキあにぃ。船でないとダメかぁ?』

 『ん?なにか、心あたりあるでちゅか?』


 『おらぁ、シャチの魚人だぁ。おらぁの背中じゃダメかぁ?』


 水魔法の(極)アルティメットがあるし、濡れてもたいしたことないでちゅ。


 『ルビーちゃん。船ないけどいいでちゅか?』

 『うん!いいよ!』

 『それじゃ、お願いするでちゅ!』


 指輪から人型になり、真下の海に飛び込む。

 バシャーン!


 飛行している俺を中心にすいすいと泳ぎだす。

 「スキあにぃ。泳ぐのに服じゃまだぁ~。しまってくれぇ~。」

 ビビンの背におり、服をタッチしてマジックバックに収納する。


 『これでいいでちゅ?』

 「下着も、じゃまぁだぁ。」

 下着をタッチしてマジックバックに収納する。


 「あんがとな。これででぇーじょうぶだ!」


 海面を滑るように泳ぎだす。

 『ビビンすごいでちゅ!全然、濡れないでちゅ!』

 「スキあにぃは、ゆっくりしでてくれぇ。目的地さー。教えてくれぇ。」


 『目的地は船の墓場!東でちゅ!』

 「わがったぁ~!」


 すいすい。すいすい。

 かなりのスピードで東に向かって泳ぎだす。


 そして、その夜。

 陸の光も届かない暗闇の海。空には満点の星空が広がっている。


 『ルビーちゃん。綺麗な星空でちゅ。』

 「うん。綺麗!」

 『ここでも、いいでちゅ?』

 「ダメ!パパとママが見たところで見たいの!」


 Zzz…Zzz…


 疲れ切り、仰向けになって爆睡しているビビンの腹の上。これから20日間、全裸少女の上での生活が続く。

 申し訳なさが、半端ないでちゅ!


 頑張ってるビビンに、今更、船を探そうとは言えないでちゅ!


 でも、この谷間に体を固定すると寝やすいでちゅ…Zzz…。

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