第113話 西の魔女ばぶー。

 今、砲撃島バズーカに来ている。

 砲撃島と言っても、昇天師としてブイブイ言わせていた島。

 かつて、浮島が墜落を免れるため、南のゴーレムの肩に間借りし肩の島になったのだが、200年の間に融合が進み、砲撃機能が付加されている。


 「お坊ちゃま。ガラス製品のメンテと購入で莫大な費用がかかりましたね。」

 『大丈夫でちゅ。まだまだ、マジックバックの中に蓄えが残ってるでちゅ。』

 (使おうと事業を始めた途端に死んじゃったでちゅから!)


 『つまみぃ~!たりねぇ~~!』

 「…。」

 「奥様がお呼びですので、ペロはこれで。ビビン、おぼっちゃまをお願いします。」

 「まっがせろぉ。」


 しゃちの魚人のビビンだが、ペロの要望で、とてつもなく似合わない執事服を着ている。


 前世の知識では、服を破って、あちゅぅわぁぁぁ~~!とか言いだしそうでちゅ。


 「スキあにぃ、これから、どこさ行くべ?」

 「ばぶ。」

 「情報あつめてぇだか?スキあにぃの昔の知り合いが、生きでっがもしれねぇって話だもんな。」

 「でちゅ。」


 探索者ギルドで、西の魔女の情報を購入する。


 「西の魔女様か~。ろくな情報がねぇから、タダでいいぜ。擬態魔獣の多い大森林の奥深くに100年以上も引きこもってる。200年前に魔族を弱体化する魔道具を作ったはいいが、30年もすると魔族が対策とっちまったから、責任感じて引きこもったっちゅー話だ。ま、数年に1回くらい、魔道具作成の依頼が行くが、門で追い払われるらしい。」

 「わがったぁ~。これから、いっでみっだ。」

 「そうか、気おつけてな。」


 『生きてるのは嬉しいでちゅ。けど、200年もルビルデに責任を感じさせてしまったでちゅ…。』

 『あるじ様。』

 『スキヤキ様。』


 「…。」


 『行くでちゅ!会って!謝るでちゅ!』


 きゅぽん

 ビビンを指輪に戻し、西に向かって飛翔する。


 ビュ!ビュ――ン!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る