第114話 擬態魔獣ばぶー。

 西の大森林。木の高さは城の塔よりも遥かに高い。空から呪詛感知をし、目星を付ける。


 『スキヤキ様。上空からでは、森が深過ぎます。地上からの探索に切り替えたほうが良いでしょう。』

 『この辺りにあるのは、間違いないでちゅ。』

 『あるじ様。地上では、あたしが護衛いたします。』


 ボンテージクイーンのライナが黒真珠のネックレスのレンから飛び出し、俺をおんぶして落下する。

 落下中、木の枝に鞭を巻き付け勢いを殺しながら、軟着陸する。


 森の中には、ポットやタンス、食器などが散乱している。


 「鬱陶うっとうしいね!」

 ヒュン!パチィン!


 ライナが、ポットを鞭で弾き飛ばすと、ポットが羽を生やして逃げていく。

 そう、ここは、人の生産物に擬態する魔獣の森。

 ただ、分かりやすい擬態をする魔獣のそばには、分かりにくい擬態をする魔獣が潜んでいる。


 ライナの立っている地面が大きく揺らぎ、風呂敷を包むように襲いかかる!


 地面に見えていたのは、散乱するコーヒー豆に擬態した巨大な布のような魔獣!


 「だから、鬱陶うっとうしいね!」

 ヒュン!パシィン!


 しおしおしおと、ライナへの攻撃をやめる。

 レベル79のライナに攻撃しただけでも、大したものでちゅ。


 お菓子の家、古びた壺、お人形や宝石。

 ありとあらゆるもので、気を引こうとしている。

 引っかかるめでたい奴はめったにいないが、中には本物もあるから太刀が悪い。


 物には用がないので、呪いの感じる方に向かって、突き進む。

 パ、パンティでちゅ!パンティがあるでちゅ!どこが目でちゅか?!どこが口でちゅか?!


 パンティをマジックバックに投げ入れる。

 『なんでぇ、こりゃ…。ぶっ!はははは!!!目が出た…目が…ひーひー。腹が…。口が…。ひひっ。ぶはははは!』


 進んでいくと、結界の張られた屋敷が現れる。


 ≪アシッドボム≫

 ビューン!


 ズガーーーン!

 「プギャ?!」

 ライナが、門をくぐると同時に≪アシッドボム≫に弾き飛ばされる!

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