第111話 ソフィーばぶー。A

 南の牧場から、街の方へ戻る途中に≪アクウカン≫が反応する。


 『城の方で、亜空間から何か這い出たでちゅ。』

 『スキヤキ様。ポンコツ王のした事です。放っておきましょう。死神が来たら、こちらが危険にさらされます。』

 『レンは、わかってないねぇ。あるじ様は、くるならこいなんだよ。』

 『ライナこそ、わかっていません。スキヤキ様は、浅はかだからこそ、道しるべが必要なんです。』


 くるならこいでも、浅はかでもないでちゅ!


 ≪ウィンド≫飛翔!!


 『小腹亭に戻って、ソフィーを連れて城に向かうでちゅ!』


 ペンギンメイドをおんぶ紐で吊り下げ、飛翔する。

 「キャー!空は無理です。無理ですぅ~~~!!」


 小腹亭の部屋につくと、べろんべろんになったソフィーが、くだをまく。

 「はぁ?なんで、城に行かないといけねぇ?あたいは、ノルマ完了したんだよ!いーやーだ!」

 ソフィーをマジックバックにツッコミ、城に向かって飛翔する。


 ソフィーなら、レベル25の動物に襲われることはないでちゅ。


 「空は…。空は無理…。」

 よく考えたら、指輪に戻らないでちゅかね?


 きゅぽん


 戻ったでちゅ!


 空から城を見ると、中央の庭にサンショウウオのような黒い物体が、王と護衛を追い詰めている。

 「えーい!なんとかせんか!勇者よ!今こそ戦うときだ!」

 「おらぁ、ただかっだごとねぇ。こんなおっきぐて、強そうなのむりだぁ~。」

 ペロと同じような、存在がいるでちゅ。肉体がなく半透明でちゅ。

 「光の巫女!お前が呼んだんだ!なんとかしろ!」

 「呼んだんじゃなくて、出てきちゃったんですー!!」


 『スキヤキ様。今からでも、ほっといたほうが…。』

 『レンの言いたいこともわかるでちゅ。でも!』

 『あるじ様、お任せを!』


 黒真珠のネックレスから飛び出したライナが、空中からサンショウウオに喧嘩キックをお見舞いする。


 ズガーーーン!


 サンショウウオをすり抜けて、地面に大きなクレーターを作る。

 「あたらねぇ?!」


 「なんじゃ?!オークが降ってきたぞ!いや、仲間割れしてるうちに逃げるのじゃ!わしを運ぶのじゃ!」


 マジックバックから、ソフィーを取り出す。

 「うぉ?うまそうな豚がいたと思ったら、空じゃねぇか。今日の夢は、きもちぃぃねぇ~。」

 『ソフィー!あのサンショウウオのようなの倒せるでちゅか?』

 「はん。余計な仕事はしねぇ主義だが、夢ならかまわねぇか。アレにあたいを投げてくれ。」


 サンショウウオの上空でソフィーとの魔力結合を解除する。


 ヒュ―――――――。

 「気持ちぃぃねぇ~」


 ≪罪人執行ざいにんしっこう


 ソフィーの手に巨大なハンマーが出現する。


 『ライナ!逃げるでちゅ!』

 『スキヤキ様。お任せを!』


 ≪配置転換ディバージョン


 ライナが黒真珠のネックレスに吸い込まれる。


 「よっこらせ!!!」

 ドガァァァァン!!!! 


 巨大なハンマーに叩き付けられた中庭だが元のまま壊れておらず、サンショウウオのみが消滅する。

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