第110話 異世界転移ばぶー。

 「お坊ちゃま。本当におんぶでよろしいのですか?ベビーカーゴーレムチェアーの方が楽ですよ。」

 「ぶーでちゅ!」

 (22歳でベビーカーは恥ずかしいでちゅ!)


 87ばなな牧場の看板のある門をくぐり、草原の中の道を行くとあちこちにアゲ玉に乗っている獣人がおり、放牧している牛を警護しているのがわかる。

 アゲ玉の子孫もいたでちゅ…。って、なんで成体じゃないんでちゅ!


 「あんた。うちの牧場に何かようか?」

 牛獣人の青年が話しかけてくる。


 「はい。お坊ちゃまが、ここで買いたいものがあるので、お願いします。」

 「そうか、なら、こっちに来てくれ。お茶用意するから。」


 書類が大量に積まれたデスクのある事務所に通され、香りのよい緑茶がだされる。

 「ばぶ。」

 「つかぬことをお聞きしますが、ハーナ様、ナーナ様の子孫でしょうか?」

 「ははは。ここいらの牛獣人はみんな繋がってるさ。なんせ英雄の血だからな。で、何が必要なんだい?坊ちゃま。」

 「ばぶ。」

 「鶏と豚のエサを、量は見てから相談します。」

 「はいよ。ここに1袋づつあるが、どうする?」


 マジックバックのジャングルにある鶏の領土と豚の領土に餌をばら撒くが、警戒してか、どちらも食べに来ない。

 「ばぶ。」

 「雌鶏を10羽と雌豚を10匹いただけないでしょうか?」


 「はいよ。それなら、こっちに来な。」


 ついていくと、若い動物のみ飼育している小屋に通される。

 ばら撒いた餌の周辺に、雌鶏10羽と雌豚10匹を投入すると餌を食べ始める。


 ジャングルに生息していた雄鶏雄豚がアプローチに出てくるが、レベル差のせいで、若い動物たちは恐怖で動けない。

 雄鶏雄豚も心折れて、ジャングルに帰っていく。


 入れ替わりでジャングルに生息していた雌鶏雌豚が、新参者に近寄り匂いを嗅いだりしてコミュニケーションをとりあう。

 しばらくすると、仲良く餌を食べ始める。

 良かったでちゅ。はこれからでちゅ。頑張るでちゅ!


 「ばぶ。」

 「今の、雌鶏雌豚をもらいます。あと、先ほどのエサを100袋づつお願いします。」

 「いやいや!あんた、今何したんだよ!」


 「でちゅ。」

 「気にしたら、負けでございます。」


 「はいそうですか。いやいやいや!俺んとこの動物の命をもて遊んだら、ゆるさねーぞ!」


 マジックバックから出し入れして、飼育していることを証明したでちゅ。


 「すげぇな~。お前、伝説のスキヤキ様と同じことができるんだな。」

 「(本人)でちゅ!」


 ハーナとナーナの子孫も幸せそうで良かったでちゅ!

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