第64話 下級魔族と俺。

 ガシィーーン!


 俺との間にナーナが割り込み、こん棒と大剣が激しく交錯する。

 「ごしゅじん~。護るです~。」

 「ありがとう。速さだけなら、プラムの方が上だな。」

 「失礼。ヒヒヒ。われは・・・フン!」


 ガキィーーン!

 ナーナが吹き飛ぶ。


 「力の魔人。ヒヒヒ。それじゃ、さよなら!」

 おいおい。ナーナはBランクと言えど、力だけならAランク上位にも匹敵する。


 ≪牛刀割鶏ぎゅうとうかっけい

 ガシィーーン!


 「ごしゅじん~。護る~。」

 「ありがとう。」

 「ひつけーよ!」


 ガキィン!ガシィッ!ドカーン!

 ガキィーーン!ドカーン!


 ハーナとナーナが代わる代わる殺戮魔人さつりくまじんの猛攻を防ぐ。

 俺たちは、右の壁に、左の壁にはじき飛ばされながら、耐え忍んでいたが、俺は血だまりに足を取られ。


 ずるっ。すてーん。


 血だまりに手と尻をつく。

 「「ごしゅじん~。」」


 ≪ドレイン≫


 「ヒヒヒ。さよなら~。」大剣を振り上げる。

 「さよなら~。」俺は笑顔で言葉を返す。


 体の一部が透け始めた殺戮魔人さつりくまじん

 「ヒヒヒ?はぁ?はぁ?」

 何が起こったか、分ってないのだろう。


 血だまりの先を指す。

 「時間切れのようですよ?」

 「はぁ?なんで、死んで・・・」

 何が起こったかわからずに、黒い霧になり消えていく。

 (どうやら、リミットは本当だった。)

 血だまりしにドレインが届いてよかったでちゅ!


 「ぉっと、ステータス確認して。いちを魔族だったし。呪いとか。」


 称号:恋の迷走者、リキーダダンジョン名誉都民、下級魔族討伐者


 「下級魔族討伐者?」

 「すごい~。魔人たおした~。ハーナにもついてる~」

 「ナーナもです~」

 「え?戻ったんじゃないの?」

 「多分です~。召喚時のたすけるってのに、制約違反したです~?」

 「なんだかな~。ま、フラグがないのはいいことだ。」

 「フラグ~?」

 前世の知識では、うっとおしいことになる前兆を言うでちゅ。

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