ぺっぺっぺっぺ

Hail

第1話

眠りにつくと同時に俺の魂はこの世界から乖離する

体の感覚が変わってからそっと目を開けると、ボロい屋根から射し込んでくる朝日が顔を照らしていた。


「こっちの世界は何日だっけ」


そう呟いてみても、周りには日付を指し示す物は何も無い。

藁を掻き分けて、埋もれていた杖を取り出した。

「よし、今日もいっちょ働きますか」


壊れかけの馬小屋を出て、この街で唯一の冒険者ギルドへ向かった。


「ようコウスケ、頭に藁付いてるぞ」

ギルドへ入るなり、既に集まっていた勇敢な男達に笑い者にされた。

「言っとくけど普通のベッドより安眠効果抜群だからな」

「そんなことより、今日も着いてくるんだろ」


ギルドで請け負うクエストには大きく分けると2つのクエストがある。

ソロで挑むクエストと、チームで行うクエストだ。

俺には仲間がいないから、必然的にソロクエストになるのだが、それではお金と経験値を稼ぐのに効率が悪かった。

そこで、この町のギルドで1番の古参、悪くいえば始まりの街からまだ一歩もでてないやつら、に頼み込んで一緒にクエストを回ってもらっている。


「今日ははぐれモンスターの討伐でもしようぜ」

リーダーのゴングが言った。


「討伐?」

俺はまだ戦闘系のクエストには行ったことがない。

「コウスケもそろそろ慣れた方がいいだろう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ぺっぺっぺっぺ Hail @mobuyuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る