光と熱

 あま川銀河がわぎんが中心部付近ちゅうしんぶふきん

 ほしうみ。どちらを向いてもひかりかがやく。

 水色みずいろ基調きちょうとした機体きたいは、ひかかたな逆手さかてっていた。関節かんせつまわりはあお装甲そうこう一部いちぶ灰色はいいろ装飾品そうしょくひんみどりするど追加装甲ついかそうこうおおわれている。全長ぜんちょう、約13メートル。

 あたまにハチマキ。口元はマスクのような形状けいじょう

「フォトンカタナは、さびつかないね。それもまたよし」

 20メートルびたひかり切断せつだんしたのは、30メートルの装置そうちみどり正六面体せいろくめんたい

 チャンドラは機体きたいを止めない。いきつくひまもなく、次の防衛装置ぼうえいそうちへ向かう。爆発ばくはつするてき

 といっても、パイロットはかり身体からだ。ロボットなので呼吸こきゅう必要ひつようない。

 コックピットは球形きゅうけい空洞くうどうかべに周りの映像えいぞううつっていた。足元はすこしたいら。

 大きな耳の男性が、右手と左手にそれぞれ金属きんぞくぼうにぎる。

 てきたおつづける巨大きょだいロボットは、Dシリーズ・タイプRという名前なまえ通称つうしょう、Dエイティーン。

なん攻撃こうげきしても同じだ。フォトン武装ぶそうってそういうもの、だろ?」

 たずねたのは、あかいロボットをあやつるウリセス。装置そうちをフォトンハンマーでとらえた。

 装甲そうこうえてとがった見た目の、Dナイン。

 帽子ぼうしをかぶっていて、マスクのような形の口元。

 ふと眉毛まゆげの男性も、すぐ次へ移動いどうする。

 ミドリタンスは荷電粒子砲かでんりゅうしほうそなえている。たま秒速びょうそく29まんキロメートル。立ち止まることはできない。

くなよ。武器ぶきはなしは、かえってからするべきだ」

 警戒けいかいおこたらない、あつくちびるの男性。

 黄色きいろ基調きちょうとした機体きたいで、うでの2かしょからブレードを発生はっせいさせた。片方かたほうでミドリタンスをく。

 二重装甲にじゅうそうこうにより各部かくぶとがっているDトゥエンティー。

 ヘルメットをかぶっていて、口元はマスク形。

 ビームの連射れんしゃ対応たいおうするには、速度そくどしかない。Dの速度そくどは、秒速びょうそく20まんキロメートルをえる。

「こちらの機体きたいが小さいから、といって、油断ゆだんしないほうがいいわ」

「言われるまでもない。ビームさえなければ、あとは、物理的ぶつりてきにクサリを破壊はかいしてやる」

 桜色さくらいろのDエイトをるファリアと、緑色みどりいろのDトゥエンティーフォーをあやつるアイザックも、連携れんけいしてたたかっていた。

 すべての元凶げんきょうせまり、たたかいは目まぐるしくなっている。

 あま川銀河がわぎんが管理下かんりかく、巨大きょだいなネットワーク、ムネン。

 中枢ちゅうすうであるクサリまで、あと1天文単位てんもんたんい

 1おく5000まんキロメートル。

 軍艦ぐんかん後方こうほうに下がっていた。最前線さいぜんせんでは、ビームに対抗たいこうして接近戦せっきんせんをおこなっている。

「おかしくないか? バーティバ」

「なにか、ありましたか? 紅蓮ぐれんさん」

 うす黄色きいろのDをあやつる、くろ短髪たんぱつの男性。太陽たいようを見た。動きを止めずに戦いつづける。20メートルのフォトンブレードで、ミドリタンスを両断りょうだんした。

「かなりむかしの話だろ? クサリが地球ちきゅう姿すがただったのは」

「はい。なるほど。太陽たいよう姿すがたを変えていないこと、ですか」

 しろいDファイブを操作そうさする、銀髪ぎんぱつ長身ちょうしんの男性。サイドがすこしびた髪型かみがた。話しながらも動きを止めない。左右のうでからばしたブレードで、つづけて2機撃墜きげきついした。

「イリヤによると、白色矮星はくしょくわいせいっていうのになるらしいぜ」

「おそらく、ムネンの力によるものでしょう。原子げんしあやつり、姿すがた維持いじしているのです」

過去かことらわれてる、ってことか」

 ムネンの技術ぎじゅつである、物質ぶっしつ変化へんか

 バーティバたちケイ素生物そせいぶつ技術ぎじゅつである、かり身体からだ操作そうさ

 両方りょうほう技術ぎじゅつあわ装置そうち、ツインタイム。

 あま川銀河奪還作戦がわぎんがだっかんさくせん宇宙うちゅうかけ全員ぜんいんが、装置そうちを使う。

 時間じかん空間くうかん影響えいきょうされない、時空並列通信じくうへいれつつうしんを使って会話かいわしながら。

ゆがみは、もとからたねばなりません」

 しろいDが軌跡きせきえがき、みどり装置そうち破裂はれつした。


 ムネンの中枢ちゅうすう、クサリまで、あと400まんキロメートル。

 地球ちきゅうからつきまでの距離きょりの、約10ばい

 はばむのはみどり防衛装置ぼうえいそうち隊列たいれつんでいる。10から次々つぎつぎ発射はっしゃされるビーム。分厚ぶあつひかかべけずられていく。

 緑色みどりいろのロボットが被弾ひだんした。

 リアクターの最大出力さいだいしゅつりょく、500ギガクーロン・ボルト。2基搭載きとうさいしていても、ふせぎきれなかった。

「ここまで、のようだな。あとはたのんだ」

「アイザック!」

 グレンがたすけることはできない。ビームははやすぎる。

 右足を破損はそんしたDトゥエンティーフォー。頭部とうぶにはゴーグルをつけている。

 操縦そうじゅうするアイザックは、おく使つかっていた。

 外部がいぶからのエネルギー伝播でんぱつ。

 支援用しえんようの、衛星級えいせいきゅうマトクスター。とてつもない大きさの銀色ぎんいろ球体きゅうたい。ビームに対処たいしょできるよう最前線さいぜんせんからはなれているため、エネルギー到達とうたつまでに数秒すうびょうようする。

 するどい見た目の機体きたいは、左手も破損はそんした。

 コックピットの男性が、たかはならして笑う。

「固まってるから、こうなる!」

 エネルギーがとどいた。最大出力さいだいしゅつりょく1000ギガクーロン・ボルト。それを50基搭載きとうさいしているマトクスター。

 緑色みどりいろのロボットがひかつばさ発生はっせいさせ、防衛装置ぼうえいそうち隊列たいれつ一瞬いっしゅん両断りょうだんした。

 おくれて爆発ばくはつするみどり装置そうちたち。

 つばさは、全長ぜんちょう200メートル以上いじょうひか飛行機ひこうきのような姿すがたで、次の隊列たいれつ破壊はかいしていく。

連携重視れんけいじゅうし姿勢しせいは、どこへいったのかしら」

 桃色ももいろのDエイトも被弾ひだんしていた。頭部とうぶにはメガネがある。承認しょうにんつファリア。コックピットの女性が、つり目ぎみの目に力を入れる。

 エネルギーがとどいた。

じつはわたくし、接近戦せっきんせんは、あまり得意とくいじゃないのよね」

 機体きたいの周りに発生はっせいする、まるひかかべ半径はんけい100メートル以上いじょう

 きらめきが一瞬いっしゅん加速かそくした。みどり防衛装置ぼうえいそうち、ミドリタンスの隊列たいれつかべをぶつけてつぶしていく。

「ファリア!」

 グレンは、目の前のてき高速戦闘こうそくせんとうつづけていた。

 おくにはリスクもある。

 膨大ぼうだいなエネルギーは長時間使ちょうじかんつかえない。効果こうかが切れると、クールオフのために性能せいのうちてしまう。

 つぎつぎにてき撃墜げきついしていくみどり機体きたい

 制限時間せいげんじかん警告けいこく無視むししてんだアイザックが、ビームをける。てきとともに爆発ばくはつかり身体からだうしない、戦線せんせんから離脱りだつした。

無茶むちゃしやがって」

 うす黄色きいろのDは、変わらずてき撃破げきはつづける。グレンは、しろいDと連携れんけいしてたたかっている。

効果的こうかてきではありますが、危険きけんが大きすぎます」

 すこしつよ口調くちょうのバーティバ。

 クサリまであとわずか。みどり防衛装置ぼうえいそうちは、隊列たいれつんだものしかのこっていない。

 桃色ももいろ機体きたいが、ミドリタンスにひたすらかべをぶつけつづける。隊列たいれつ最後さいごの1体をたおす前に、動きを変えた。ビームを同時どうじはなち、同時どうじ命中めいちゅう。ファリアからの応答おうとう途絶とだえた。

 クサリまで、あと約40まんキロメートル。

 つきから地球ちきゅうまでの距離きょり


 巨大きょだいひか鈍器どんきとおけた。

 みどり隊列たいれつひかりねつわる。

 200メートル以上いじょうの大きさのフォトンハンマーが、宇宙うちゅう軌跡きせきえがく。

 あかいDナインは、両足を失っていた。頭部とうぶ帽子ぼうし損傷そんしょうしている。

「なんか、ガラじゃねぇな。おれぶんたのむ、なんてよ」

 おくを使ったウリセスは、笑っていた。

 しろいDをるバーティバがげる。

「ウリセスさん。あとはまかせてください」

 あかいDへのエネルギー伝播でんぱが止まった。そのままミドリタンスの隊列たいれつみ、相打あいうち。ひかりはなった。

「あとは、人工衛星じんこうえいせいみたいに回ってる装置そうちだけだ!」

 全方向ぜんほうこうディスプレイをにらんで、グレンがさけんだ。

 目標もくひょうのクサリが見える。灰色はいいろつきはなかった。

 地球ちきゅうと同じ大きさ。大気たいきはない。うみすらない。生き物のいとなみがかんじられない。その周りを回るミドリタンスが、知覚的ちかくてきに分かりやすく表示ひょうじされている。

つきは、長い年月ねんげつてに、クサリの重力じゅうりょくって、はなれたようですね」

「もともと、つき炭素生物たんそせいぶつ生命せいめい安定あんていさせるために、作り出されたもの。だったりして、な」

 グレンが前に出ようとすると、制止せいしされた。

「おいしいところをいただこうっていうのは、よくないなあ」

 コックピットにいるのは、大きな耳のチャンドラ。

 水色みずいろのDエイティーンが先行せんこうした。

「ぼくたちにまかせてくれ。いまこそおんかえすとき」

 操縦そうじゅうするのは、あつくちびるのディエゴ。

 黄色きいろのDトゥエンティーがつづく。

 フォトンカタナとフォトンクローの連携れんけいで、クサリを回る荷電粒子砲かでんりゅうしほう破壊はかいしていく。

 ともに、武器ぶきの長さは20メートル。

 重力制御装置じゅうりょくせいぎょそうちにより、クサリの重力じゅうりょくに引かれてちることはない。

「チャンドラ。ディエゴ。なんだよ。オレたちも――」

いや予感よかんがするのさ。ぼくのわがままを聞いてくれないかい」

「それに、この機体きたいもそろそろ限界げんかいだ。おくを使わせてもらう」

 水色みずいろのDと黄色きいろのDは、同時どうじにエネルギーの伝播でんぱけた。

 長さ200メートル以上いじょうのフォトンカタナが、いっしゅんでみどり隊列たいれつ両断りょうだんする。同じくらいの長さのフォトンクローも、ミドリタンスをいていく。

 リミッターを外した状態じょうたいのDと連携れんけいすることはできない。

 すこしけわしい表情ひょうじょう見守みまもるバーティバ。

 時間切じかんぎれがせまるのにもかまわず、二人は攻撃こうげきの手を止めない。クサリの周りをける。

 はなたれるビーム。チャンドラが受けて、カタナがえた。

 フォトンクローはとどかなかった。

 ディエゴがビームを受ける。二人からの通信つうしんが止まった。

 のこ隊列たいれつは1つ。敵の数は10。


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