悪魔と契約した平凡学生

@Yk20011011

第1話

 いつものように起床。そして朝食、歯磨き、着替えそして学校へ行く。


 ――遡ること一日前 

 僕、出雲 勇は中学二年生の得意なことはスポーツと勉強だけというどこにでもいる普通の中学生だった。

 昨日もいつもと何も変わらない一日になると思っていた。


一時間目から四時間目の授業が終わって、昼休みに乃木 斗真とご飯を食べていた。


 「勇はいいよな頭はいいしスポーツもできる、俺なんか高校いけるかもわからないぜ」

怠そうにご飯とおかずを口に入れながら乃木 斗真が呟いた。

 「僕はみんなと同じ高校にいければいいよ」

 この時間が学校生活の中で一番楽しかった。いつものようにどうでもいい話をしているとすぐに時間が過ぎた。


 五六時間目が終わってみんなが部活へ行く準備をする。でも僕は部活に入っていない、もちろん入ろうとしたが面倒くさくなって入らないことにした。


 放課後はいつものように鈴川 凛と帰った。凛とは生まれた病院も幼稚園、小学校、中学校と一緒で、つまり腐れ縁・・・いや、幼馴染ってやつだ。

 「暇だなー俺も部活はいればよかったかな」

 「いいじゃない私と帰れるんだから」

 凛とはいつも一緒にたわいもないような会話をしながら帰っている。


「今日勇の家遊びに行ってもいい?」

「いいけど、塾があるんじゃないのか?」


凛は、中学生になった今もそして昔も僕の家によく遊びに来た。 

凛の父親は高校教師で、その影響で凛は塾に入れられている。

「じゃあ着替えたら行くからね」

「おう」

 そんな話をしながらいつものように帰った。それが僕にとって幸せだった。

――帰るはずだったのに。


 「早く帰ろう、遊ぶ時間なくなっちゃうぞ」

 「うん、急ごう」

 そう言って凜が走りだした――いや走ってはいなかった。

 あの時の状況を説明するなら……そう、時が止まったそう表現するのが一番しっくりくる。


何かが変だ、周りの時間は止まっているのに僕だけが動くことができる。

 「おい凛!!」

凛からの返事はない。あったのは何か・・・何者かからの問いだけだった。

 「力が欲しいと、この世界が退屈だと思ったことはないか?」

 声がしたのと同時に目の前の空間が歪んでいって、気づいた時にはすでにそいつは目の前にいた。――人間ではない何かがそこにはいた。

 黒い体に黒い羽をしたそいつを少しの間、僕はただ呆然と眺めることしかできなかった。

 「お前は選ばれたんだ」

 「……」

 僕はその言葉の意味を理解することができなかった。そもそもあの状況で理解できる人間など存在しないだろう、もしいるなら合わせて欲しいものだ。

 しかし、理解する間もなくそいつは僕に話しかけてきた。

 「俺は悪魔だ」

 「悪魔? 何を言ってるんだ……」

 「もう一度言う、俺は悪魔だ」

 『悪魔?』は当たり前のように俺にそう言った。

 「そんなの信じれるわけ無いだろ!」

 当然の反応だ、僕は、いやまともな人間なら悪魔だと言われて信じるわけがない。そして僕はまともな人間だった。

 「なら俺が悪魔だと証明してやろう」

 僕がどう反応して、どう答えるのかをあらかじめわかっていたかのように『悪魔?』は薄笑いをうかべながら言った。

 そして手のひらを空に向けて、何か呪文のようなものを口にした。そして・・・

 「なにをしても僕は信じないよ」

 何をしても僕は信じない、そう言おうとした。そう思っていた。

でも僕が見たものは手からでた光、ビームと呼ばれるものだった。何度目を疑っても目の前の現実が変わることはなかった。

 「これで信じたか?」

 「……」

 僕はもう目にいるのが「悪魔」だと信じるしかなかった。信じたくはなかったが。

 「なぁ、君はさっき僕が選ばれたとか言っていたけどあれはどういう意味なんだ?」

 誰もがこういう状況に立たされた時に思うだろう、頭がおかしくなってしまったのだと。

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