物語の時間

作者 はやぶさ

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★★★ Excellent!!!

 大の読書好きで山ほど本を読んできた少女、牧。将来の夢は小説家と、そう当然のことのように思っていたけれど、文章を書くのが得意で上手いかというと、そうでもない・・・。

 そんな牧がある日、鬱蒼とした茂みの中の洋館で、実際には存在し得ないはずである謎の王女のことを知ります。その王女は、文字が浮いたり消えたりする宝箱の中の紙切れだけで、「早く助けて。」と悲痛な思いを伝えてきます。

 非現実的な状況にもかかわらず、助けを求める王女に応えるためにはどうしたらいいか・・・と、真剣に考える牧。そして、「きっとそうだ!」と思いついたのが、同じ洋館で見つけた書きかけの本を完成させること。王女に関わる一文が記されたものです。しかしヒントはたったそれだけしかありません。これをもとに、牧は起承転結ほとんど全てを、想像力を働かせ作らなければならないのです。小説を書くことへの初めての挑戦、果たして・・・。

 小説家という夢を持ちながら初歩も知らない少女が、偶然見つけた本の中の王女様を救うため、その使命感に燃えて、成り行きのままに一つの物語を書き上げる。大人の私でもわくわくする素敵なストーリー展開を、優秀作に選ばれた高い文章力と綺麗な筆致で語ってくれます。牧の人間らしい繊細な心理描写にもとても共感でき、特に児童にオススメしたい作品ですが、子供から大人まで幅広く楽しめる物語です。