最終章 そして、奇跡は起こる。
貴方は奇跡を信じますか?
そんな問をされたら、どういう風に答えるだろうか?僕の場合は、信じませんと答えると思う。
でも、今そう問かけられたら。絶対に信じますと言ってしまう。そんな確信がある。なぜなら、今僕の目の前でその奇跡は起こっているのだから。
あの日、あの時空から降ってきた石が坂山愛佳の型をして、坂山愛佳の気持ちを伝えにきてくれたことがあった。
あの日、空から落ちてきた石と一緒のような石をぶら下げた、猫を拾った。
それも今思えば、奇跡だったのかもしれな
い。
それとも、こういう風になるような軌跡だったのかもしれない。
でも、今目の前に起こっていることは、軌跡でもなく、出会い《奇跡》であった。
どういう奇跡なのか。それは、猫が喋ったのであった。
「貴方は私が誰だが、分かりますか?」
と。
誰か分かりますか?そんな訳ない。そう言いたかった。でも、そうは言えなかった。僕はこの今猫の形をしている人間が誰だか、分かってしまったから。そう、今こうして、僕の目の前で猫の姿をしていても、貴方は私が誰だが、分かりますか?」と聞いてきた人物は、僕が好きになった坂山愛佳だった。
だから僕は。
「はい。わかりますよ」と答えた。
そう答える言葉を聞いた、坂山愛佳は、猫ながらも目からまるで人間のように涙を流しながら
「本当ですか」
と聞いてきたのか、それともいや、聞いてきたしかないな。
「ああ──
だから、僕は、今まで生きてきた人生でこれ程までに、こんなの気持ちを込めて人の名前を呼んだことがあっただろうかというくらいに
──坂山愛佳さん」
と呼んだ。
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