その2 タイトレーシング



 あんまり耳馴染みないと思います。


「目指せ! 理想のウェスト18インチ!」

 ということで、コルセットをぐいぐい締め上げて美しいボディラインを手に入れようぜ!というもの。

 淑女たる者、美しくくびれた砂時計のようなウェストと、S字型のボディラインをしていなければならないのです。


 まったく狂気としか思えないぜ……と、自分のたっぷり二段腹とワイン樽のような体型を眺めながら思うのですけども。



 コルセットとは正しく締めることで、美しい体型に整形出来るもの。


 まず、キャミソール(シュミーズ)を着ます。

 その上からコルセットを巻きつけます。

 因みにコルセットって、後ろの編み上げ紐は最初から通してあるようです。いちいち通してたら面倒だからね。

 紐を緩めた状態で、背中から前に向かって巻きつけ、前で留め具(たぶん小鉤こはぜかホックみたいなの)で留めて、身体の中心線をきちんと合わせたら準備完了。

 変に動かないように、そこのベッドの支柱に腕を伸ばして掴まってください。あ、背筋も丸めないようにまっすぐとね。

 お胸の形を整え、まずは上から3分の1程を紐で締めます。息を吸って~(ギュギュッ)

 では、続きまして、今度はお尻の方から3分の1程を締めます。はい(ギュギュッ)

 最後に、ウェストの一番細くくびれているところを締めます。息を吸って~(ギュギュッギューッ)我慢しなさい。まだまだ締められるでしょう!(ギュギュッギュギューッ)

 ――これで完成です。


 こんなこと毎朝やってるの。貴族の女の人達ってヤバくない? ドM??


 でも、こんなことを小さな子供の頃からやっていたようです。

 ネットで検索すると、子供用コルセットの広告の画像とか出て来ます。

 さすがに子供用のものは、大人の程がっちり締め上げるものではなく、もっと柔らかい素材とか使っていたみたいですけど。



 で、こんなことをしていたのだから、当然あるよね。弊害が。


 自立出来ない子供とかもいたようです。

 自立って、読んで字の如く「自分で立つ」です。

 コルセットっていう硬いもので身体を固定しているじゃないですか。だから外してしまうと、背中を自力でまっすぐさせておくことが出来ない子もいたようです。


 まっさか~と思うかも知れませんが、たぶん本当のこと。


 これもまたわたしの体験談になってしまいますが、

 ちょっと腰椎ヘルニアの一歩手前の状態になってしまったことがありまして。

 そのとき、日によっては立つことも、座ることも出来ないような状態だったので、腰痛ベルトのお世話になりながら仕事に通っていた時期がありました。

 で、帰宅してベルトを外すと、ガクッと来るんです。支えがなくなるから。

 本当に腰のあたりから力が抜けるように落ちて、そのまま膝をつく感じ。

 コルセットをしていて自分で立てない子ってこういうことか~と思いながら溜め息をついたものです。ふぅ。


 そりゃ身体によくないよ。




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