ウェストをギュギュっと
その1 コルセット
そろそろこいつの話をするべきではないだろうか……?
コルセットと言っても、腰痛の矯正するアレじゃないよ。
ウェストをね、ぎゅーって絞って、砂時計のような見事なくびれ体型にするという世にも恐ろしい補正下着――それがコルセット!!
発祥はだいたい十四世紀の頃らしいんですけど、
体型を補正するっていう意味の下着は、ローマ時代まで遡って存在するそうです。
ちょっとでもスラッとした素敵な体型に見せたいというのは、大昔から人々の願望のひとつなのですね。
で、コルセット。
これはさすがに、今までのクリノリンやらバッスルよりは、なんとなくわかる人多いと思います。
現代でコルセットを着用している人は、一部のタイトレーシング(※後程書きます)愛好家の人以外はファッション性だけを求めていると思うので、そんなに引き絞ったりしないですよね。
ハイウェストのスカートとかに編み上げリボンつけて~みたいな感じかと。
あれ可愛いですよね。お腹出てるんで着ようとなんか微塵も思いませんけど。
しかし、昔のコルセットはそんな可愛らしいものではなかった。
鯨の髭製か鋼鉄製のボーンが仕込まれた布を身体に巻きつけ、背中の方で紐をきつく締めて体型を補正する拷問器具――ではなく、下着です。下着。
理想とされたウェストサイズは18インチ(だいたい45センチくらい)
現代の女性で、細身かな?と思える人のウェストは、たぶん57センチとかそれくらいだと思うので、それより10センチも細い!!
いやっ! 恐い! 死んじゃう!
実際、コルセットの締めすぎで身体をおかしくしている女性はたくさんいたみたいです。
当たり前ですよね。肋骨から下の空間に詰まっている腸とか大事な内臓のあるところを歪めて締め上げているんだから、身体の機能が正常じゃなくなる。
お医者さんも「これマジやべぇって。締めるのやめようぜ」と統計やらいろいろ根拠を示して注意喚起していたみたいですけど、やめなかったみたいですね。
死にかけてまで自分を美しく見せたいのか!? (当たり前じゃないの!)
女性の美に対する執念は恐ろしいです。
まあ、コルセットは女性だけのものではなく、元は男性も着用していたらしいんで、
いつの時代も、人は皆、他人から素敵に見られたいということですよね。
そんなコルセットも、もちろん人気のない時期があったりしました。
十四世紀頃発祥で、時代や地域によって微妙に形状や素材を変えながら連綿と使用されてきたものなのですが、
十九世紀初頭のフランス――ナポレオンが即位した頃ですが、この頃は身体を締めつけないシュミーズドレスが流行したので、コルセット人気は下火になります。
このシュミーズドレスというのは、俗に言うエンパイアスタイルですね。胸の下あたりからすとーんと下まであるドレススタイルといえばご想像可能ですかね?
しかし、1815年のナポレオンの失脚と共に、再びコルセットを着用したファッションが台頭してきたと。
どんだけみんな細いウェストが好きなんだよ。
でも結局、時代が進むにつれ、女性の社会進出やらなにやらが重なり(第一次世界大戦とかもあったし)
着るのも脱ぐのも大変なコルセット人気は下降していき、最終的には廃れたということです。
それでも十四世紀末から二十世紀に入ったくらいまでの五百年ばかりを生き抜いたのだから、恐るべきことだと思います。
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