もう少し素直になって。
城崎 夏恋
第1話 出会い
届かない。かれこれ10分間、太宰治に届かない。
大体ここの図書室は棚が高すぎる。てか「だ」が1番上とかおかしいだろ。このやろう。爪先が削れていっている気がする。もう諦めるか…?
「これ?」
頭上から突然声が降ってきた。振り返ると俺が狙ってた本を持った奴が立っていた。俺より20cmは背が高い。180cmはあるだろう。何よりもこの綺麗な顔立ち。芸能コースの生徒か…?
「ねぇ、これ?」
何も返さない俺に彼はもう一度尋ねた。
「あ、あぁ、助かった。ありがとう。」
その男は、澄んだ瞳で俺の目を見つめながら少し微笑みどこかへ去って行った。
その日、以前借りた本を返し忘れていることを図書委員に注意され、俺はその本を借りられなかった。
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