不死身な勇者様
shushushu
プロローグ
勇者は血だらけになりながら眼前の敵を見つめていた
誰よりもあると信じていた体力は、もうほとんどない
大きく肩で息をして、旅を助け続けた剣を杖のようにすることでやっと立てる状態だ
「これで・・・終わりだな
魔王様よ」
「終わりだと?
終わるのは貴様の方だぞ、フレア
もはやただ孤独に死を待つだけとなった貴様に何ができるというのだ!」
勇者フレアは、仲間を半ば強引に逃し1人で決戦に臨んだのだ
しかし、強大な魔王の力の前にはもはやなす術がない
「ははは、俺は1人じゃねえよ
ずっとみんなと一緒さ・・・
だが、死ぬ時まで付き合わせるわけにはいかねえ
死ぬ時は、てめえと一緒だ!魔王!」
フランは剣を強く握り、魔王にその切っ先を向けた
先ほどまでの頼りない立ち方ではない
そこには歴戦の勇者たる、堂々とした立ち姿があった
「なんだとっ!?
貴様は死に損ないのはずだ!!」
「そう簡単には死ねねえのさ・・・
[サン・バースト]!」
そう唱えた瞬間、フレアの体を金色の魔力が包む
「これは俺の最後の輝き、命を燃やすことで得られる輝きだ!」
「ぐぅ・・・!なんという光!
どこにこんな力が・・・!?」
魔王は光の力で行動が遅くなる
「一緒に死のうぜ、魔王」
フレアは微笑んだ
フレアの選んだ最後の手段は、魔王もろとも全てを吹き飛ばす自爆だったのだ
「ああああああ!させるかあぁぁぁ!!
この世界は我のものだぁぁ!!きぃぃさぁぁまぁぁごときにぃぃいい!!!」
魔王は目も開けない強烈な閃光の中、とどめをさすためジリジリと少しずつ間合いを詰める
しかし、フレアもまたゆっくりと魔王に近づいていた
「お前がもらえるのは俺の命だけさ
・・・さらばだみんな、お前達と旅ができて楽しかったぜ
幸せに暮らせよ・・・
[
眩い閃光は、一瞬にして熱線となり轟音と共に辺り一面を包んだ
光は空まで達し、世界を覆う闇まで晴らした
そして全てが収まる頃、そこにはもはやなにもなかった
世界を救った偉大なる勇者すらも
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