死宴

エストレイア

プロローグ

 何処にでもある平凡な学舎の屋上に、男が1人冷たいコンクリートの上に寝転がっていた。

 いや、その状態を見れば寝ているとは言えない程に体中に傷や痣が出来ている。


「あー、いって…

今日は派手にやりやがって…」


 その男の目は暗く濁っている。全てを諦めているかの様な暗い瞳━━━


「はぁ…

今日かかなーり機嫌が悪かったな

何かあったのか?

まぁ…どうでも良いけど」


 その言葉は1人虚空に消えて行く━━━



 暴行、イジメ、彼の状況は現代で言うそれに当たる。だがそれでも良いと彼は思っている。

 諦観

人生の殆どを諦めた彼に在るものは「どうでもいい」という感情。何が切っ掛けでこんな事になったのか、そんな事が解っていたのならこんな状況にはなっていないだろう。 何か彼らの琴線に触れる事をしたのか…それはもう当人達にしか解らない。


 ふと聴こえ慣れた鐘の音が鳴る。授業が始まった証拠だ。


「あーめんどくせ…

起き上がんのクッソだる…」


 ふわぁ…と大きな欠伸をし、男の瞼は段々と降りていく。疲労なのか、彼は深い深い眠りへと誘われていく━━━




 昏い暗い闇の中。夢の中で、彼は運命に出会う━━━







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る