縁側

 晩春の頃。鈍い雨がしとしとと降る。

 私は一人、縁側に寝転がって呆けていた。

 世界が止まっているように思えた。

 流れる曇天。止まない雨。

 本当は止まっているのは私一人だ。

 ただ終日の蕾を眺める。

 いずれは花が咲くであろう。

 いずれは枯れるであろう。

 そんな事を夢想するから、きっと私は止まっている。

 細れ霧が衣を濡らす。それを晴らす風は吹いてはくれない。

 この瞬間は永遠を望ませてほしい。

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