第15日 友人(1)
今回は私がもつ数少ない友人の話をしようと思う。私の友人は少し変わっている、と私は少し思う。それは主に恋愛面において顕著だった。私の友人は、仮にAと呼ぶが、軟派な人で、純粋とはおおよそかけ離れた人だったが、独特の雰囲気を持つ、おかしな人だった。そのAが好意を寄せる相手、というのは「決して自分を好きにならないような人」なのだそうだ。いや待て、そんなことはアプローチをかけてみないとわかるわけがないだろ、というような反駁は当然私もした、がA曰く「自分を好きにならないような人」を好きになってしまうのであって、「自分を好きにならないような人が、もしも自分を好きになったら、自分は相手を好きではなくなる」というのだ。まさしく新手の頓智もいいところである。
大学時代に出会った人間なのだが、ブレブレのようで全く揺れない人間であり、よくわからないことも言ったりするのだが、地頭は良く、ユニークな人間だ。決して本人の前では言いたくないのだが、私は何度かAという人間に憧れたことがある。素っ頓狂で馬鹿だけど、鋭くて、憎めないような人。私が欲しいと思っていたような人間性をAは持っていた。
今となっては会う機会も激減し、どこで何をしているのかなんてわからないのだが、それでもAはあの独特な雰囲気をふんだんに振りまき、周りの人間を魅了して生きているのだと思う。
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