第7日 秋と冬の境
10月31日と11月1日では季節がガラッと季節が変わってしまうような気がする。最近の季節はとても移り変わりが早い。四季なんて言わず、もっとたくさんの季節が存在していると思うが、その中でもより顕著なのが秋と冬の間にある季節だ。秋は一年間のなかで、一番に過ごしやすい季節だと私は感じている。気温や湿度もさることながら、独特の空が秋には存在する。特に夕暮れ時や黄昏時は非常に幻想的であり、しばしばこの世界から切り離されたものが上空に浮かんでいるのではないかと感じることさえある。次にやってくる冬は孤独や寂しさ、生きている実感を大いに感じることができる季節だ。寒い時は暖かさが恋しくなり、寒さという一種の終わりを迎えるような感覚から逃れたくて、人が恋しくなる。そして寒さとは冷たさであり、冷たさとは死と隣り合わせだ。そんな冷たさに触れていると、自分がしっかり今を生きているということが、溶け込むように自らの実感に混ざる。
秋と冬の間。それは寂しくもあり、それでいて一人でいたいとも思わせる。感覚の問題だろうが、10月31日と11月1日ではやはり、何もかもが違って見える。いつ変わるのかもわからないが、気づいたら冷たく、気づいたら寂しい。秋と冬の境は放課後、部活帰りの暗い道を思い出す。やっと一日が終わるような気分、だけれど、まだ今日が終わってほしくないような矛盾をはらんでいるようなもどかしさ。今日という日が終わってしまう儚さとやっと今日が終わるという待ち遠しさが共存する瞬間はやはり秋と冬の境だけだ。
涼しい季節も、寒い季節も、寒くなっていく過程も私は大好きだ。いつの日かこの季節の間に隠れるように存在している季節が隠れなくてもいいような時が来るのを、そして、それを誰かと途方もなく話せることを密かながら楽しみにしている。
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