千代子のお散歩

@matsumiike

第1話 えっ、この私が、○○に!?

私は、今、東尋坊に来ています。

「鬱だ、死のう」

ぴょーぉぉぉぉぉぉぉぉんんんんん……。

ゴスッ。


私は死んだ。

ってな事で、今、私は地獄に来ています。

えっ、この私が、成績オール5で生徒会長もしている私が地獄に!?

あっ、自己紹介が遅れました、私は、千代子。

周りからは「ちょこ」と呼ばれていた……はず。記憶が確かではないけれど。

堅物なイメージを持ちがちな生徒会長のあだ名が、ちょこ。

そのおかげもあってか後輩たちも慕ってくれていたから、まあ、この古めかしい名前も悪くはないんじゃないかと思う。死んだ今ではもう、名前になんて意味がないかもしれないけれど。

死後の世界なんて、現実に抗えない人たちの唯の逃げ場だと思っていた。だから天国

とか地獄とか信じていなかったし、死んだら消えておしまい……そう思っていた。


では、ここは何なんだろう。


ちょっと腕を伸ばせば掌が見えなくなってしまうほど暗くて、骨まで染みわたる様な寒気に満ちたこの空間。

ただ立ち尽くしているだけでも、胸が潰れてしまいそうな絶望感が押し寄せてくる。

鬼も閻魔様もここにはいないけれど、この寂しくて息苦しい場所が、死者の魂を罰するための世界……地獄に違いない。

私の魂はこれからずっと、この空間に閉じ込められたままなのだ。

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