リモートコントロール・コント
さかなへんにかみ
第1話
<A・Bは買い物から帰ってきた体で舞台に入ってくる。Cは客席中央でずっと待機>
A:外あっつかったな。
B:(ドアを開ける動作)
A:うわ、中も暑いじゃん。なんで冷房消したんだよ。
B:もったいないだろ。(後ろを向いて飲み物を準備する)
A:(床に座る)リモコンどこ?
B:テーブルの上の箱の中。
A:箱?ああ、これか。
B:うちリモコン多くってさ、まとめてしまってんだ。
A:リモコンなんて3、4個くらいだろ。(箱からリモコンを取り出し、順番につけてゆく)
これはテレビのか、これはビデオデッキかな、これはラジカセか、うちにも同じのある
や、これはなんだろう(よくわかんないロボットの音)ええっ、これはなんだ(怪獣の足音、気味悪そうに箱に戻す)やっとエアコンのでできた、ピッ
B:(Aにコップを渡して自分も座る)はい、水しかないけど
A:お、サンキュー。しかしお前、本当にリモコンたくさんあるんだな。これは?
B:テレビ。
A:やっぱりな、これは?
B:ビデオデッキ。
A:はい正解、これは?
B:ラジカセ。
A:これも正解、でこれ何のリモコン?
B:俺の
A:いやお前のだっていうのは分かってんだよ、何のリモコンか聞いてんの。
B:だから、俺のだって。
A:待て待て待て、誤解を避けるために英語でいこう。
B:いいよ。(しり上がり)
A:えーと、what is this remort controller for?
A:えー、アイム、コントロール、フォー、リモコン、アンドユー?(うれしそう)
A:ごめん、俺が悪かった。
B:馬鹿にすんなよ。(Aからリモコンを取り上げる)
A:なにすんの。
B:言語設定を変える。
A:まじで!
B:まじで。:○×△☆○×△☆(面白い動きとともに)間違えた。
A:お前は今何を言ったんだ。
B:(もう一度というジェスチャー)
A:what is this remort controller for?
B:It’s for me!(うれしそう)
A:えっと、日本語に戻して。
B:Uh-huh?
A:Change the language setting to Japanese!
B:(リモコンを操作)な、本当に俺のリモコンだったろ。
A:今の合ってたか?
B:合ってたよ。
A:確かに主語すらままならなかったお前が一応文法上問題ない答えを言っていた。
B:だから本当なんだって。
A:(リモコンを取って)じゃあさ、この青いのは?
B:青くなるんだ。
A:何が?
B:顔。
A:ふーん、変なの。この赤いのは?
B:赤くなるんだ。
A:何が?
B:他人。
A:ふーん、変なの。この黄色いのは?
B:黄色くなるんだ。
A:何が?
B:悲鳴。
A:ふーん、変なの。この緑のは?
B:緑になるんだ。
A:何が?
B:口。
A:緑の窓口、ていうわけか。
B:Uh-huh?
A:こいつ(Bの首根っこをつかむ)
B:やあめろって
A:中途半端に英語覚えやがって
B:(Aを振りほどいて別のリモコンを取る)ピッ。
A:(崩れ落ちる)
B:(後ろを向いて高笑い。できれば暗転もしたい。数舜の後)ピッ。
A:(明転と同時に)ギンッ。おはようございます。(小林賢太郎ソロパフォーマンス『Drop』の「椅子落語」の坊ちゃんが起きるとき風)
B:おお、すごいびしっと起きたな。
A:(立ち上がって)お前今何しやがった。
B:お前の電源をリモコンで落としたのさ。
A:え、俺もリモコンとかあんの?
B:ふふふ、これがお前のリモコンだ。
A:なんでお前がそれを!
B:知らないリモコンがあるなあと思ってたんだよ!
A:こいつ、なんで偉そうなんだ。僕のリモコンを返せ(Aに殴りかかる)
B:ピッ。
A:あれ力が(腕が下がっていく)
B:ピッ。
A:くっ(膝をつく)
B:ピッ。
A:(崩れ落ちる)
B:ふむふむお前は明るさを何段階で調整できる電灯みたいなリモコンか。これもっと暗くなるのかな。ピッ。
A:復活!(Bのリモコンを拾う)
B:しまった、ボタンを押しすぎて、一周周って全快させてしまった。
A:お前のリモコンは貰ったぞ。(リモコンを構える)
B:先に死ぬのはどっちかな。(リモコンを構える)
A:くらえ(スローモーション風)
B:消えろ(スローモーション風)
A:えええスロー再生(小声)えええ
C:ふあ、そろそろ寝るか(リモコンを舞台に向けて、電源ボタンを押す)
A・B:(崩れ落ちる)
C:ピッ。
A・B:(立ち上がり礼)
リモートコントロール・コント さかなへんにかみ @sakanahen
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます