第1話 近代史(2✖✖✖年編)
世界は弱肉強食という常識から白人至上主義と言う常識に移り変わっていた。
15世紀から始まり17世紀まで続いた大航海時代。
当初は世界各地の実権をスペインとポルトガルが掌握していた。
しかし徐々に他のヨーロッパ諸国も広い海へと渡るようになり、世界中でヨーロッパ諸国による独占体制が敷かれるようになり、それは後に植民地支配体制へと移行していくこととなる。
そして18世紀中ごろから19世紀に起こった産業革命によってヨーロッパ諸国の中のとある一国が強大な力を持つようになる。
後に世界の25パーセントを手中に収める一大帝国、大英帝国である。
圧倒的な工業力と世界各地を掌握した大英帝国の勢いはとどまるところを知らず、先んじて世界へと打って出ていたスペインやポルトガルを超えて世界最大の国家を築き上げた。
足並みをそろえるように世界進出を果たしていたヨーロッパ諸国ではあるが、しかし彼ら同士の仲が良かったかと言えばそういうわけではない。
政治的な駆け引きや水面下での争いにより小さな火種はいくつも抱えてはいたものの、それでもヨーロッパ各国の政治や外交によってその火種は大きくなることなく抑えられていた。
しかし1914年に起こったサラエボ事件によってヨーロッパ各国の抱えていた火種が表面化し、後に世界大戦と呼ばれる歴史の大事件が勃発した。
アジアにおける数少ない独立国家であった日本は大英帝国の要請を受けて参戦して大英帝国側の勝利に貢献した。
この戦いを世界大戦と呼ぶことになった経緯はヨーロッパだけでなく、ドイツをはじめとした中央同盟国が持つ世界中の領地に連合国側が攻勢を仕掛けたことによって世界中で戦争が勃発したためである。
この戦いは大英帝国を中心とした連合国側勝利し、これにより一時はヨーロッパ各国の火種は大きくなって燃え尽きたかに思われたのだが、小さな火種はくすぶったまま残ってしまっていた。
世界大戦での敗北によって多額の賠償金や保証金の支払いを余儀なくされたドイツを中心に大英帝国やフランスなどに対する不満が募り、約25年後に再び小さな火種は大火となってヨーロッパ全土を巻き込むこととなった。
約25年という月日が経つにつれて日本の置かれた状況も変化していた。
世界大戦時には大英帝国と交流もあり、助力を求められる関係性が築かれていた。
しかしその関係性はアジアにおける利権や支配地域の範囲によって徐々に変化していき、その頃の日本は大英帝国だけでなくその同盟国であるアメリカ合衆国などからアジアでの利権の譲渡を迫られていた。
日本は国益を守るため譲渡には首を横に振り、しかし直接対決は避けるために外交での交渉を色よい返事が得られなくても幾度となく交わしていた。
日本からアジアの利権を奪い取るために大英帝国とアメリカ合衆国だけでなく、当時大英帝国に従属しておりなおかつ日本との小さな戦争をいくつも抱えていた中華民国と大英帝国と友好関係にあったオランダ王国による物資資源の封鎖による締め付けが行われた。
しかし状況の変化に伴い内閣の出の人事等にも変化があり、日本が選ぶべき未来は二択に絞られていた。
・アジアの利権(国益)を差し出して戦争を回避する
・アジアの利権(国益)を守るために実力行使に出る
二者択一を迫られた日本がとった選択、それは・・・
アジア利権の放棄であった。
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