S.O.S

@minato_hotaru

第1話

落ち葉に抱き締められた秋の風

乾いた唇に塗ったリップが

あなたの頬を探して歩いた


出会うわけはないと分かっていても

誕生日のようなクラッカーを

二人で一緒に浴びてみたかった


もうすぐ冬が来てマフラーを巻く

テクテクと首の周りを回って

チクチクと小さな痛みを残す

あなたに投げたい言葉のように


北国の落ち葉は飛べなくなる

背中に張り付く雪の重さで

羽根が破れてしまった日の朝

道端に倒れるだけの模様だ


私の口にも雪が降っている

あなたへの想いを閉ざすために

揺れる心が犠牲になったんだ


甘いココアを飲む子供みたいに

口の周りを汚しても笑って

あなたに気付いて欲しかったのに


弱々しい太陽の熱を

虫眼鏡を通して集めた

落ち葉の残骸は燃えるだろうか?

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