プロローグ

 辺りに所狭しとある長屋風の建物は、赤や紫、橙などの派手な色に染めあげられていて、とても特徴的だった。

 目の前には赤い髪の若い男のヒトが大きな筆の先を路上に押し付けると、筆からにじみ出た鮮やかな紅色が路上の土色を染めた。見物客の歓声を聞きながら、琥珀こはくはその様子を眺める。

 ただの紅色が、生き物のように動き出す。男のヒトの舞とともにどんどんその形を変えてゆく。

 夕日が完全に沈み訪れた夜は、色鮮やかな提灯ちょうちんと賑やかな歓声に包まれていた。

 琥珀はいつまでも、目の前で繰り広げられるその不思議な演舞に見入っていた。

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