執着
美那がダイエットをすると言ってから3ヶ月ほど経った。
いくらか成果は出てきたが、それでも満足出来るほどではなかった。
「ねえ、ねえ。伸哉が1番好きな色って何色?」
美那からその質問をされたのは、それから更に1ヶ月経った時だった。
「んー、強いて挙げるなら、……青かな?」
その質問に何気なく答えた俺。
そして美那はその後から確実に変わり始めた。
◆
俺が美那の変化に初めて感づいたのは、美那と交際半年記念のデートをした時だ。
デートの待ち合わせ場所に美那は真っ青なワンピースを着てきた。
初めて見る服だった。
「なあ、その服どうしたの?」
俺は思わずそんな質問をした。
それは正直、その服が美那に似合っていなかったからだ。
「この前買ったの。どう? 可愛いでしょ?」
「え……。あ、ああ。可愛いよ」
俺がそう言うと美那はとても嬉しそうに笑ってこう言った。
「ありがとう。そう言ってくれると思った。だって、青は伸哉が1番好きな色だもんね」
美那のその言葉に少し違和感は感じたが、その時はまだそれほど気にはしなかった。
むしろ、自分の好きな色を覚えていてくれた美那のことを愛おしいとさえ思った。
だけど次のデートの時、美那は青いパンプスを履き、青いバックを持って現れた。
よく見ると耳にしていたピアスの色も青かった。
……俺が青が好きだと言ったから?
俺はそこでようやく美那の異常さに気づいたのだ。
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