迷宮のイリス&ルウネ2
アリサとイルムルイが戦ったその場所に次に辿り着いたのは、イリスとルウネだった。
揃えば
散らばる
カナメが放ったと思われる赤の
そして、何よりも。
「あれは……なん、ですか」
「
そこに居たのは、上の階に居たパラケルムと格闘戦が出来そうなほどに巨大な鎧。
しかし、まさかとも思う。
あれが
ここはダンジョンの中であって、遺跡でもなんでもない。
……いや、だが。1つだけ、可能性はある。
ならば、此処にあるアレはつまり。
「モンスターの
「その通りです」
佇む巨大な鎧の兜の奥に、光る眼が現れる。
聞こえてくる声は、先程パラケルムと名乗った男とは違う……聞き慣れた声。
「その声……まさか、アリサさんですか!?」
「あの鎧から聞こえたです」
鎧巨人が、その顔をイリスとルウネへ向ける。
「ようこそ、私はイルムルイ。完全なる神となって、再びこの世界へ君臨する者です」
「今度はアリサさんを乗っ取ったのですか……邪神め! そんな事が許されると思っているのですか!」
「許すのは常に神であり、貴方達は常に許されることを請う側です。神に逆らう邪悪な人間よ。許しを請いなさい」
「
即座にイリスが半円状の障壁を自分とルウネを中心に展開させ、全力で魔力を流し込む。
避ける隙も逃げる暇もない。そう考えたイリスの判断は正しく、火の玉は無数の小さな火の玉……といっても一つ一つが大人の頭ほどもあるモノとなって地上へと降り注ぐ。
「くっ……!」
恐らくは一つ一つが一流の魔法士の
一体ここで何があったのかは分からないが、アリサが恐らくは乗っ取られた。
それは非常にマズいことだ。
「倒せばいい」という段階を過ぎてしまった以上イリスとルウネではどうにも出来ないし、そもそもあの
唯一の朗報としては、「アリサを乗っ取った」のであれば恐らくはアリサの身体は無事であろうということ。
あの
どうすればいいのかはサッパリ分からないが、とりあえず
「ルウネさん……!」
「ん」
「この炎の雨は、私が防ぎ切ります! あの
降りしきる炎の雨はイリスの
そして、攻撃がこれで終わりという事もないだろう。恐らくは、攻撃に回す魔力の余裕はほとんどないと考えていい。
……ならば、一人に集中するしかない。
「やってやるです」
「……頼もしい。では、お任せしましたよ」
炎の雨が途切れたその瞬間、イリスは拳を天へと掲げる。
「聖戦の時は来たれり! 神々よ、我等が戦いをご照覧あれ! 今此処に我等、古の盟約を果たさん……
詠唱が終わると同時にルウネとイリスの全身、そして武器をも光が包み込む。
「聖国の誇る全強化の秘儀です。さあ、いきますよ、ルウネさん!」
「ん」
イリスとルウネの姿が、文字通りにそこから掻き消える。
超高速の移動を可能にした二人は
「くっ……なんと素早い虫か! はあっ!」
「そんなもの!」
自分の身体に電撃が届く寸前にイリスはルウネを投げ、イリス自身も近くの出っ張りに足をかけて跳ぶ。
「おおおおおおお!!」
ならばと両側から叩き潰すように振るった両手は、イリスの
怪しいのは、頭部。ならばそこを壊すわけにはいかない、が。
「腕は、いらないです」
跳ぶルウネの棒に、膨大な魔力が流し込まれる。
世界樹の枝から削り出した、恐らくは世界最高の魔力伝導率と増幅率を誇る棒は……ルウネの魔力を受けて輝く。
「出ろです……
ルウネの長い棒が、ただの柄にしか見えない程の巨大な青い刃が出現して。
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