広間にて
「しゃ、喋った……いや、そういえばさっきも」
「
動揺するカナメとタフィーをそのままに、エルは油断なく大剣を構え
エルの知っている限りでは、
やがて別種であると認定され
それに……あのマントを含む格好。絵姿があるわけではないので何とも言えないが、あそこまで豪奢だという情報は無かった気がする。
しかし、だとすると……アレは何なのか。
「お前達が欲しいのは、この箱に入っている物なのだろう? 私の一撃を二度も防いだのは驚嘆に値する。持っていけ」
言いながら
蹴られて舞い上がり、重たい音を立てて転がった宝箱にチラリと視線を向けながらも、エルは警戒を解かない。
意思疎通が出来ればモンスターとも仲良くなれると信じるほど、エルは夢見がちではない。
一体目の前のモンスターが何を考えているのか。それを警戒し、エルはごくりと唾を飲み込む。
それはタフィーも同様で、いつでも魔法を放てるように杖を構えて。
「持っていけ、はいいけど。これで戦いは終わりって言いたいのか?」
そして、カナメは果敢にも
その様子に
「この二階層の変調は、その宝箱の中身によるものだ。本来出現するべきではない物が出現してしまった結果、それに他のモンスター共も引っ張られていた。故に、こちらとしても早めに回収して貰えると助かるというのが正直なところだ」
「……どうかな。ダンジョンの「役割」からすると、それでもいいんじゃないのか?」
カナメの言葉に
「それを知っている所を見るとお前、何らかの啓示でも受けているのか? だがまあ、今はいい。答えてやろう……一切の希望のない場所に、何処の誰が夢を託す。ルール無用というのは、一番非効率的なことだ」
そう言うと、
「私の事をしきりに
「なら、お前は……」
「そうだな。お前達流に呼称するならば……
そう言って
「……そういえば、私に「譲られた」のでは宝の価値も低いか? どうにもそう言いたげだな」
「なっ」
「いいだろう。ならば相応の相手と戦い勝ち取っていけ。相手は用意してやる」
そう告げると、
「お前達の言う
「……
カナメの放った
「……ほう? 今のは先程の……」
「……あまり俺達を馬鹿にするなよ」
カナメは弓を構え、そう告げる。
「殺気が隠せてないんだよ。何処かのタイミングで俺達を殺す気満々のくせに、口先ばっかり騎士っぽくても意味がない」
「……だな」
「ですね」
そう、結局はそこだ。濃厚な殺気をぶつけてくる癖に戦わないといったところで、何処の誰が信じるのか。
どのタイミングで襲い掛かってくるかをカナメ達は警戒し、
「ク、ククッ」
小さく笑った
「ぐっ……!?」
「ハハハ! それはそうだろう! この手で神のお役に立つ事以上の喜びが何処にある!」
エルは
「もう少し凝った殺し方をしてやりたかったが……まあ、いい。ひょっとしたら生き残れるかもしれないという望みを抱いて死ね。それを我等が神に捧げてくれよう」
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