ミーズ市街戦
ミーズの町中は、文字通りの戦場であった。
有り得ないほどに武装をした
騎士団が忙しく走り回ってはいるが、武装した
馬に乗って駆ける騎士の槍も通らず、剣で関節を断とうとしても大人しく斬られるわけがない。
「ひ、た……助け……ぎゃあ!」
「おい、どけ! どけえ!」
少しでも頑丈な建物や壁砦を目指して逃げようとする町人達もまた、騎士団の行動を阻害する原因である。
安心を求めて逃げ回る彼等にとって騎士団は縋る対象であり、見つけるや否や「助けてくれ」と群がるからだ。
勿論騎士団としてもそのつもりで必死で戦っているのだから邪魔だと蹴散らすわけにもいかないのだが、事実邪魔である。
結果として群がられた挙句に騒ぎを聞きつけて集まってきたモンスター達の姿を見て悲鳴をあげて町人達が逃げた後には、存分に集ったモンスター達が騎士達の周りにずらりと集まることになる。
まさに「やっていられない」状況だが、それでも騎士達は善戦し……しかし、決して状況は良く無かった。
そしてそんな中、数体の
「ひっ……!」
短い声をあげて窓を閉めた女だが、「何処にいるか」分かった以上はそんなものは関係ない。
即座に家の扉を見つけ、
これを壊せば、さっきの人間のいる所に行ける。
そうすれば殺せる。
それが理解できているから、
先頭の
だから、仲間の一体の首が飛んで自分の顔面に剣が突き刺さるその瞬間まで、そこに「別の人間」が接近していた事に気づかなかった。
「ゲッ……」
「ギイ!?」
残されたのは、扉を壊そうとしていた
扉に刺さった剣を慌てて抜こうとした
幾ら武装しているといっても、部分鎧であれば弱点は幾らでもある。
ならば、それを突くのは少女にとっては簡単な事だ。
「うーん……どう考えてもおかしい。アホの
呟きながら剣についた血を掃うのは、アリサだ。
ここに来るまでの間にも何体かの
かといって、今日この日に何処かから壁を乗り越えてくるのも不可能に近い。
「……んー」
悩むアリサの目の前で、地面が突然ぼこりと盛り上がる。
「ん?」
崩れる地面と、突き出された
躊躇わずに関節にアリサは剣を突き刺し、そのまま何度も何度も突き刺して絶命させる。
動かなくなった
「
「ギイ!」
「
角から姿を見せた
ほぼ一瞬のうちに距離を詰め、首を刎ねる。
その一連の動作に迷いはなく、アリサは突然仲間を殺されて浮足立つ
「ギアアアッ!?」
「うっさい」
続く一撃でその
其処には手の中でナイフを玩ぶアロゼムテトゥラの姿があり……アリサはその姿を確認すると、足元に転がるナイフに視線を向ける。
どうやら飛んできたのはコレで、投げたのはアレらしい。
自分の中でそう結論付けると、アリサはアロゼムテトゥラを軽く睨み付ける。
「その
「アロゼムテトゥラよ。名前を知ってるってことは、昨日殺し損ねた連中のお仲間かしら?」
妖しく笑うアロゼムテトゥラに、アリサは見た目だけは爽やかな笑顔で返す。
「そうだよ、お仲間。昨日は好き勝手やってくれたそうじゃない?」
「こっちの台詞よ。今日は油断はないわ。まずは貴女を」
「
アロゼムテトゥラが言い終わる前にアリサは跳び、その勢いのままに刃を振りかぶった。
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