第4話

「なんで紙本の製造が禁止されなきゃいけないんだ」

「私達から楽しみを奪うなんていくらステラ様でも許せない」

 紙本の会。それは紙本好きが集まる私が作った会。今日もいつも通りの集会の予定だった。しかし、夕方五時ごろステラ様から出されたある法律のおかげでいつも通りと言う訳にはいかなくなった。紙本制作・製造禁止令。この会の会員にとって、どんな重大事件よりもショッキングで大問題だ。

「牡丹、これでいいのか」

 私とともにこの会を作ってくれた兄が心配そうに声を掛けてきた。

「一部ではステラは紙本に異様ともいえるほどの憎しみを抱いているとか。今回の一件で証明されたといってもいいんじゃないのか」

「そうね。でも、あの方のご意志を私たちが帰ることは出来ないと思うの」

 そう。あの子の恨みは正確には紙本ではなく、私に向いているはずなのだから。

「私は離れます。解散は兄さん、貴方に任せます。」

 ここにいたら泣いてしまう。過去に犯した自分の過ちを遠からず責められているような気がして。まだ幼い息子を置いて、自分の仕事のため家を出たことを。

「牡丹、お前は向き合うべきだ」

 兄さんが私を呼び止めている。でも、ごめんね、兄さん。私は怖いの。




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