淡々とした文章が私にはとても心地よかった。それはお話にとても合った語り口で、それがこのお話の要にあるだろう「哀愁」をじんわりと私に感じさせた。
虫の死を静かに受けながら、最後はトイレに流し、それからきちんと手を洗う描写がすごくよかった。けれども、その描写は、私には彼女が虫の死を蔑ろにしているようには思えなかった。その一見矛盾するような感情と行動は、恐らく「膝の痛みを無視しつつ、けれどあまり痛み過ぎないようにゆっくりと歩いて」きた「これまで」で以て彼女の一貫性担保するのではないだろうか、と私には読めた。その部分の奥行きが、このお話で私が最も「哀愁」を感じた箇所でした。

カクヨムで出会ったお話の中で、現状私が最もおもしろいと感じたお話でした。
感想書くのも初めてです。いや、よかった！！