第39話 【文化論】割り箸についての一考察:あるいは手元から忍び寄る文化浸潤
スーパーやコンビニで弁当を買った時に無料でつけてくれる割り箸、時々妙に先端が太いというかただの棒みたいなのがあって食べにくいと思ったことはありませんか?
私はあります、具体的にはセブンイレブンと近所のスーパー
私の生活範囲での観測では、ローソンと西友は割り箸ではなく最初から丸く削った箸が2本袋に入ってますね
近所のスーパーも以前はいい感じの割り箸(先端細めで、しかも堅くて丈夫な木を使ってる感じ)だったのが、セブンイレブンみたいな先端が太いのに変わって、最近今度はローソンタイプの箸に変わりました
きっと「お客様のご意見」とかで使いにくいって言われたんじゃないのかな?
ファミマは普通の割り箸って感じですね
ついでに観測範囲で言うと、100円ショップの安い塗り箸はまだちゃんと先端は細く加工されているようです
ただし、木材が安物のせいか、2〜3膳くらいのものはいいのですが、もっとたくさん入って100円のものは使って洗う(水に晒す)のを数回繰り返しているうちに、木が反ってきて上手につまめなくなってしまいます
あと、スーパーとかで売ってる20〜30膳くらいの割り箸(もちろん100円以上する)も、まだまっとうな割り箸の形態を保っているようです
で、何が言いたいのかというと、昔一度だけベトナムに旅行したことがあるんですけど、この先が太い割り箸ってあっちの箸と似てる! ということなのです
企業のコストカットの結果、海外での生産、でもって製品の仕様は現地で作りやすい形で作っちゃえ! と
どうせ使い捨てだし、使えないほど変な形でもないし……と割り箸製造業の人たちは考え、大規模小売店側もそれを受け入れたのではないかな? と
これからアジア系の移民や技能実習生とかが増えてきて、当然そういう先端が太い箸に彼らは違和感など持たなくて
一般の家庭でも、箸はひとりひとり専用のを使うのではなく、色違いとか全く同じ箸を家族でシェアというか使い回すようになるかもしれない
先端が細い箸は塗り物の名産地の土産物か、高級料亭の割り箸くらいにしか残らずに、中流以下の一般家庭では東南アジア風の先端を細く加工しないただの棒みたいな箸を違和感なく、しかもひとりひとり専用の箸というわけでもなく家族で使い回すのが普通になる日も近いかもしれない
コンビニとかで見慣れてるから
ある日気がついたら、日本の伝統文化である箸はその形を変容させてしまっているかもしれない
元号の発表日とかにこだわるナントカ会議の人たちは、弁当といえば高級料亭の仕出し弁当でしょうから、当然そこで使う割り箸も国産の高級なものでしょう
そして彼らが気づかぬうちに、庶民の手元は東南アジア風の棒のような箸を当たり前と思うようになっていて、もはや取り返しがつかないくらいに文化的に浸潤されてしまってしまうのではないでしょうか
国士たる方々におきましては、あの神社への公式参拝とか元号の発表日とか高尚っぽいことをあれこれ言う前に、足元ならぬ手元から忍び寄る文化浸潤を憂えるべきと思うのです
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