5ー2.カウントダウン
10秒前。
えっ? 一体何が10秒前かって?
そんなの決まってる。俺が死ぬまでの残り時間だ。
あ、9秒前になっちゃった。
二度目の爆風により命拾いした俺たち。
「ねぇ、俺たちどうしたらいいの?」
「……知らない」
役立たず。一緒に宙を舞う同級生を睨み付ける。
何かあるだろ、異世界転生の特典。神様に逢ってるはずだろ。
「赤城くんは、使えそうなスキルとか無いの?」
有ったらとっくに使ってるわ! つい声に出しそうになる。
出逢って間もない人間に、そこまで強い口調ではツッコむことは出来ないので、優しく。
「無いな」
優しくと言うよりもぶっきら棒な感じになっちゃったけど、まあいいか。
「そう」
――8秒前。
解決策見いだせてないよ。どうすんの?
「まあ、私なら何とかできる、かも?」
「マジで!?」
疑問形の部分に引っかかりはするが、背に腹は代えられない。
「何でもいいから頼む」
手を合わせる。拝む。
最早神頼み――もとい
「じゃ、やってみるね」
――7秒前。
はいと言って、パンと手を叩く。
何が?
危機的状況は一切過ぎ去っていない。現在進行形の出来事である。
「何も変わってないじゃん……」
周囲を見回すと同時に驚愕した。
「止まってる!?」
――6秒前。
「すげぇよ惡野! こんなスキル? 持ってるなら最初から使えよ」
「え、でも……」
「なんだよ! ハッキリしろよ!」
「時間、止まって、無いよ?」
…………
……
…
へ?
「コレ、死ぬ間際の走馬灯的なヤツだよ」
「走馬灯は今までの記憶とかだろ?」
「そんなの、0.0000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000001秒もあれば、見れるよ。
だから、過去の思い出、流れて来たら終わり、ね」
つまりこれは、死の直前、目の前の光景がスローモーションに見えるとか言うアレか!?
……じゃあ、俺、死んじゃうじゃん。
――5秒前。
カウントダウンは止まらない。
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※新キャラ
ボードレールの『悪の華』からネーミングしました。
筆者が今現在、リアルで読んでいる本です。そんな決め方でいいのか! いいんです。
次話へ続く。
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