僕の不思議な夢日記
@nath
古代研究学園
僕の名前はアラタ。ここ、古代研究学園の1年生。入学してからというもの、分厚い書籍を細かく1ページずる読んでいくだけの退屈な生活を送っていた。
危険及ぶ古代調査は、いわば命がけであり、自らの命を守ることが第一なので、この分厚い本の殆どには調査のことよりも、まず自分の身を守る術ばかり書いてある。
本の内容は様々なエピソードが記述されたもの誰が、最終的にエピソードに登場してくる人は皆、ただ逃げているばかりであった。
「あー、僕も授業から逃げたい・・」
美人な先生、サヤカ先生を見ているだけでも、幸せではあったが、それでも退屈であった。
でも、今日でそんな退屈な日々は終わり!
明日はついに実際に古代研究の実践なのだ!
古代研究は、危険が伴う。というのも、現世でも高度な技術はあるものの、古代の技術は、授業で学んだ通りだとすれば現在あるどの技術とも逸脱しているものらしい。しかし、どんな技術なのかは、授業で一切教えてもらうことはできなかった。
掘ってなんか大変なことが起きてこう逃げたとか、飛行中に何かが起きてこう避難したとかそういう内容だった。
──次の日の朝。
「アラター、明日楽しみだなー」
そう言うのは、同じクラスのムカイ。背が高く力が強そうなイメージがある。
「おう、ここ半年で学んできたことを存分に活かすぜ!」
「でも授業内容逃げてばっかりだけどな!」
「「アハハハ」」
チャイムがなり、授業が終わる──
放課後、学園の寮に戻った僕は、明日の古代研究の実践をデモンストレーションしていた。
ここ古代研究学園は、入学して半年間は自らの身を守る術を徹底的に叩き込まれるが、基本的には実践を伴う古代研究がメインとなる授業内容だ。実際に体を動かして、自分で見て、聞いて、考えることが好きだった僕にとって夢のような場所なのだった。
しかし、明日はどこに行くのか知らされていない。いったいどこへ行くのか・・、だからデモンストレーションしようにも、なかなか方向性をつかめないのであった。
──、次の日、いよいよ実践調査になった。
「では、本日より実践授業となります。今からこの学園の地下にある古代遺跡へと向かいます。」
先生は、僕達クラスを、学園の迷路のように入り組んだ通路を狂いもなく案内し、ひとつの扉の前に立ち、生徒のほうを振り返り、そう言った。
学園の地下に古代遺跡があることをここで初めて聞かされた。
「えっここに!?」
「うそでしょ?!」
クラスに動揺が走る。というのも古代遺跡は、そんな気軽に行けるようなところでははない、今まで見つかっていなかったかなり昔の遺跡が、まさかこんな近くにあるなんて、誰も思っていなかった。
「騒がない、この扉の先はエレベーターになっている。そのまま地下へと降りて、遺跡へ行ける。」
先生がカードキーをエレベーターにかざすと、扉が開いた。
巨大なエレベーターなので、余裕でクラス40人くらいは入った。おそらく120人くらいは入るスペースはあるだろう。エレベーターにはイスが用意されていて、ゆっくり休める。みんなイスに座って、到着するのを待った。
「ここから40分くらいで到着するから、各自ゆっくりするように」
エレベーターの壁は、冷たい固い金属で覆われている。ただ、エレベーターの稼働音だけが響いていた。
なんで半年間自分の身を守るための授業ばかりやっていたのかわかる気がした。こんな閉鎖空間にこんなに閉じ込められているだけでも、発狂しそうだ。クラスのみんなは落ち着いていた。
「アラタくん・・・」
「ん・・・?」
ちょうど僕が座っていた隣にいた女の子、名前はサチカ。よく見てみると顔色が悪そうな感じもする。最近はちょくちょく話すようになった。
「どうしたの・・?」
「・・・うん・・・、なんか怖くて・・」
「大丈夫だよ、授業でならった気持ちを落ち着かせる方法・・試してみたら・・?」
「・・・うん・・やってみる・・・」
いくらトレーニングをしていても、やっぱり不安になる人も出てくるものだ。授業で習った呼吸法を、彼女はゆっくりと実践していた。
「うっ・・・ふぅー・・・ふぅ・・・・」
「落ち着いた?」
「・・・まだちょっと・・・」
「じゃぁ・・どうでもいい話をひとつしよう」
「僕がまだ小さかったころ、山に向かったことがあってね」
「うん」
「山で紫色をした不思議なきの実を見つけたんだけど、なんか口が開いたみたいで怖くてね」
「うん」
「でも後で調べてみたら、食べることが出来るあけびって果物だと知って、また山に登ってあけびを探してみることにしたんだ。」
「うんうん」
「ようやく見つけて、食べてみたんだけど、これが美味しくて、そのあとしょっちゅう山に行くようになったんだ。だいぶお腹いっぱいになったよ」
「あはは、食いしん坊だったのね」
「怖くても、それは知らないからであり、知ることによって恐怖は良い知識にもなると僕は思ってるんだ」
「素敵ですね!」
そんなくだらない話をしながら、時は刻一刻と過ぎていった。
「到着しました。寝ている生徒がいたら起こしてください」
扉が開くと、そこには最小限の光に照らされた洞窟があった。とてもひんやりしていて、怪しげな雰囲気を漂わせていた。
よく見てみると、木の根っこのようなものが、いたるところから突き出ている。なぜこんな地中深くに植物があるのだろうか。これが、古代の技術なのだろうか。
「奥まで進むので、各自ついてくるように、道は一本道になっているから迷うことはないから安心して欲しい」
先生に付いていく僕達、薄暗い洞窟の中、足音だけが響いている。誰も、喋ろうとする人はいなかっただけ、不気味度は増すばかりであった。
「ついたよ。ここが古代遺跡、アストゥラス・サイゲイル。ここには数多くの人々が眠っている」
「・・・・ひぃっ・・」
生徒から、かすかに悲鳴が聞こえた。
いきなりキツすぎると思った。もっと、青空の下で、たまたま工事中に見つかった遺跡を傷つけないようにスコップで掘ったりして、昔そこに住んでいた人々の建物の跡とかみつけるとかそういうのを想像していた。
「よく見てみて欲しい、いたるところから人間の頭部が剥き出ていることが確認できる」
「・・・・」
「こんな地下深くに、なぜこんなに多くの人間がいたのか、全く何もわかっていない。何が目的だったのか、そして、どうやってここまでたどり着いたのかを突き止めて欲しい」
生徒たちの顔は青ざめていた。パニックになる人は出ていないが、覚悟はしていたのだろう。
「先生、ここでどんなことをすればいいのでしょうか?」
クラスのまとめ役でもあるセリナは、先生にそう言った。
「本日は、初日なので、今から渡すスコップを使ってもらい、簡単な採掘作業をしてもらいます。地中に何かあったら、教えてください」
どこが、簡単なんだろうか。呪われたらどうするのか・・・。
僕は、適当に何もない所を探し、穴を掘ることにした。
優しく、傷付けないように、壁と土の間を掘り返す。
「・・・おぉ・・・」
おもったよりも早く出てきた。
「先生、何か出てきましました・・」
それは、紛れもない頭蓋骨だった。しかし形状がへんだった。そこらにある木の根っこのようなものと同化し、頭の一部が完全に木の根っこのようなものと繋がっている。
「これは、良い発見ですね! 調査報告書にまとめておいてください。」
先生は、なんだか嬉しそうだ。先生の笑顔を見たことで少し気が軽くなった。
しかし、いったいこれはなんなのだろうか・・・・。
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