プライス・レス intersecare season

風見☆渚

第1話 あきらめなくちゃいけないこと

女の子】


私には良いお兄ちゃんがいる。

よく言えば面倒見が良い。悪く言えば都合がいい。

少し歳の離れたお兄ちゃんは、私のおねだりをなんでも聞いてくれる。

たまに怒られるけど・・・

でも、いつも優しく私を見ていてくれる。

私の行きたいところがあると、とりあえず相談。

というか、おねだり。

しょうがないと言いつつも、いつもついてきてくれる。

この前も、ほとんど思いつきだったけど、秋葉原まで行ってメイド喫茶についてきてくれた。

お兄ちゃんは少し恥ずかしそうだったけど、私はとっても楽しかった。

他の人から見たら、恋人に見えてるのかな。

そう見えてるとうれしいな。

でも、やっぱり兄妹にしか見えないのかな・・・

メイド喫茶が楽しいという事もあったけど、お兄ちゃんと一緒に行けた事が楽しかった。

お兄ちゃんは気づいていないのかな。

私とお兄ちゃんは家が近所で親同士の中が良かったから、小さい頃からずっと一緒にいてくれる。

小さい頃私が熱を出して寝込んでいる時も、お父さんとお母さんが仕事で忙しく家にいられなかったけど、ずっと看病してくれていた。

私は忘れないよ。

そんな優しいお兄ちゃんがずっと好きです。

こんな優しいお兄ちゃんの事だから、きっと女の子から告白されたりとかしてるのかもしれないけど、私の無茶なおねだりも聞いてくれるから、彼女とかいないのかな。

いつも妹扱いされてしまうから、彼女にはなれないかもしれない。

それでも今は、この関係を壊したくないと思っちゃう。

お兄ちゃんはどう思っているのかな。

そういえば、最近ちょっとずつ態度が冷たくて、遠くに感じる時もある。

どうしたらお兄ちゃんは私をもっとみてくれるのか考え中。

考えて考えて考えても、ぜんぜん分からない。

とりあえず、お兄ちゃんの所に行こう。

今日はどこに行こうかな。

いつもみたいに私の手をつないで一緒に出かけてくれるかな。

お兄ちゃん、私の手をちゃんとつないでいてくれないと、もしかしたら私の方がどっかいっちゃうかも。

うそ。

このお兄ちゃんの手は離さないよ。



男子・お兄ちゃん】


自分には、歳の離れた少し面倒な妹がいる。

妹といっても、本当の妹ではない。

家が近所で、お互い親同士の仲が良いということで、昔から面倒をみているだけである。

小さい頃から一緒にいたせいか、何かと連れ回される事が多々ある。

水族館や動物園くらいならいいのだが、ちょとした買い物や、日帰り旅行クラスの時もあった。

この前は、さすがにどうしようかと思ったが、メイド喫茶に行きたいと言い出した。

まぁ、しょうがないかと思い連れて行った。

というか、半ば強制的に連れていかれた。

とりあえず、その妹が楽しそうにしていたから、来て良かったのかと思う。

何故か、ほうっておけないその妹が言い出すおねだりはどうしても断れない。

殆どあきらめてついて行く。

昔、妹の両親がどうしても家にいられないからということで、熱を出したあいつの看病もしたことがあった。

一応、可愛い妹みたいな感じだろうか。

とはいえ、友達からは可愛い子だから紹介してくれとたまに言われる。

あまりオススメ出来ないので、実際紹介した事はない。

最近、その妹も年頃でそれなりに女になってきたように感じる時がある。

昔みたいに手をつないで歩くというのも、少し恥ずかしく感じてきた。


ここのところ、少し距離をおいてしまったが、めげずに自分を誘いに来る。

いつものごとく強制的に。

いつかこいつにも彼氏とか出来るのだろうか。

そうなると、少し寂しくもなるのだろうか。

娘を嫁に出す、そんな気分になるのだろうか。

街を歩いていると、もしかすると、他から見て恋人にも見えるのだろうか。

あまり意識してしまうと、いつものように接する事が出来なくなるような気がするので、気にしないようにしている。

こいつはどんな男が好みなのだろうか。

いつか、この手を離れて、どこかに行ってしまうのだろうか。

そうなったらそうなったでしょうがない。

あいつにとって、自分は兄でしかないのだろうから。

そして、今日も、いつものように自分を誘い出しに、ごり押しのムチャなおねだりをしにやってきた。

しょうがない。

ある意味あきらめで、付き合ってやるか。

今日はどこに行きたいと言い出すのだろうか。

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