国民総ハーレム計画でメイドロイドを手に入れたら、eスポーツ トーナメントで優勝したった!

高山紫音

Personal Log 001 中二で国から「ほらっ」って可愛いロイドが支給されたら君ならどうするっての!

 ベーシック・パートナー法って知ってる?世界評議会が地球の全てのシングル・シチズンにパートナーを無償で支給するっていう法さ。ボクらはみんな、その法を国民総ハーレム計画って呼んでるけどね!ボクが生まれる随分前から施行されていたみたいだけど、正確にいつかまでは暗記してないなぁ。ヒストリーは苦手なんだ(って全科目か!)。 ボクは高山紫音。第430セクター(またはスサノ)のシチズンさ。はるか昔、ここは日本って言われていたけどね。正確に言えば、日本の京都かな。言葉自体は存続しているけど。さすがに「第430セクター・ダイアレクト」とは言ってないんだ。ちゃんと「日本語」って言ってる。まぁ、ラディカル派のシチズンは「日本語」っていう言語名称もセクター名で統一するべきっていう意見もあるけどね。ボクは個人的にどうでもいいって思っているよ。


 それより、気になるのは今日のデリバリーさ。14歳の誕生日を迎えたその翌年の新学期の1週間前に、男子の場合、アーティフィシャル・ニューロン・サピエント・フィメールタイプ(ANSーF)がデリバリーされることになっているんだ。もちろん、世界評議会からさ。なんでもかつて、国民総ハーレム計画が始動したときは、30歳以上になっても独身だったひとたちに支給されていたっていう話だけど、その後、何十年?何百年?かかけて、支給の低年齢化が進み、ボクが生まれる前までには、14歳で支給されるようになってたみたいなんだ。だいたい、まだ中学校(ミドルスクールって呼んでるけどね)を卒業していないガキ(自称)にパートナーっておかしいもんね(汗っ)。だから、ボクのまわりはクラスメートも含め、ANS-Fのことをロイドって呼んでる。もともとはメイドとアンドロイドをあわせてメイドロイドって呼ぶことになっていたんだけど、さすがに、メイドはまずいのではというディベートが世界評議会で行われた結果、すぐにロイドで統一されたんだ。


 そうそう、大昔は、ロイドをパートナーにすると変態扱いなんだよね。まあ、無能(ボクらの時代、A.I.が搭載されていないオブジェは脳が無実装、すなわち無能って言うんだ)か低能(もちろんCPUもアルゴリズムも原始的という意味さ)のロイドじゃあ、無理もないかな。いまの時代、脳が実装された(人工知能だろうが、臓器として生成された脳だろうが、脳として機能しているものを区分けして呼ぶことは「蔑称」と見なされることから世界評議会で禁じられているんだ)ドールは、事実上、普通のシチズンと何ら変わりわないからね。まあ、ボクらもロイドを「本当」のパートナー(「嫁?」でいいのかな?中世的な言い方では)にするかどうかは、カレッジを卒業するま決定出来ないんだ(世界評議会的に言えばグローバルソーシャルエコシステムでの循環プロセスのユニットとして昇格するまでってことなんだけど、これ、意味伝わってる?)。


 とにかく、ボクは緊張している。支給されるロイドが性格的にボクと気が合うかっていうのが一番気になるからね。人によっては、ロイドによって、学校の成績も影響を受けるレベルっていうからな。そんなこんなで到着したんだ。ロイドのデリバリーが。

 

 大型ボックスがボクのキュービクルに到着した。


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