決意の時  (勝手にお題【ごめん、愛してる】パターン1)



 好きな人がいます。

 でも、この恋が叶うことはありません。

 だって彼は……親友の好きな人でもあるのです……。



「今日の体育、あいつかっこ良かったよね」

 いつものように、私と彼女は放課後の教室に残ってお喋りをしていた。

 内容は主に彼のこと。彼と彼女は席が隣同士で、彼女は彼を好きだと宣言しているから自ずと話すのは彼女の方で、私は話を聴いているだけ。

 彼女が話す内容はとても楽しそうで、胸の奥がチクリと痛む。

「いいよね、あんたは選択科目まで一緒で。私も一緒が良かった。そしたら、あんたみたいにノート貸せたのに」

 溜め息混じりに言う彼女に、曖昧な笑顔で答える。

「それは偶然、知り合いが私だけだっただけだし…それに、そんなことしなくてもいつも仲良く話しとかしてるじゃない」

 そう、まるで付き合っているかのように。

 それを見ているのも、その話を聞くのも辛い。

「まあ、それはそうなんだけど……。決めた。私、あいつに告白する」

「え?」

「現状に満足してなんていられないもん。……協力してくれる?」


 瞬間、貸していたノートを返してきた彼の笑顔が浮かぶ。



 ワタシ、アノササヤカナシアワセモウシナウノ?

 そんなの、嫌だ。



 ダメ。もう、抑えられない。

 彼女のことは大切だけど、彼のことも諦められないの。

 ごめんなさい。

「……協力、出来ない。したく、ない」



 私も彼のこと、好きだから。




 『この友情は、壊れるかもしれないけど』








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