愛は愛より出でて愛より愛し

@Simana710

第1話

キーンコーンカーンコーン…

「起立!気をつけ!礼!」

「お願いしまーす」


【いちかside】

ああ…今日も一日が始まる…。

今日の憂鬱なことは…数学と…

「ふぁあぁ…消しゴム貸せよ。」

また…消しゴム取られた…

「ちょ、ちょっと、紫村くん?やめてよ」

「んぁ?いいじゃねぇか消しゴムくらい…」

「いっつも忘れてんじゃん!持ってきてよ!」

そう。数学と、隣の席の紫村くん…。


「起立!礼!!!」

「ありがとうございました!」


「おい蒼井、俺の机下げとけ」

「えぇ?!」

…しぶしぶ紫村くんの机を下げる。

「いちか、また紫村くんにコキ使われてんの?」

話しかけてきたのは親友の杏。

「うぅ…なんで私ばっかり…」

「でも、紫村くんって、すごいモテるんだよ?もう、4.5人振られたとか」

「ええ…?あの紫村が?」

「いちかはコキ使われてるから気づかないかもだけど、紫村くん、かなりポテンシャル高いよ?ルックス…学力…ピアノ…運動…どれとっても一位じゃん?」

「え、そなの?」

「知らなかったの?紫村くん、入試は498点で1位だし、体力テストも1位。ピアノはヨーロッパのコンクールで優勝…外見もかなりいいって話だよ。」

「えぇ…あの紫村くんが…」

「ってかむしろ、一部の女子からは、あんなに紫村くんに話してもらえるなんてって羨ましがられてるくらいだよ?」

「うぅ…でも!!私の消しゴム召し上げて、こーやってこき使ってることに変わりないもん!」

力任せに椅子を上げると、椅子の上にあった携帯が飛んだ。

「あっ…」

「あーあ」と杏。

「んぁ?お?!」

飛んでった携帯…を受け止めたのは紫村くん?!

「あ、ありがと。返してよ」

「…」

紫村くんは私の顔をじっと見る。

「な、なに?」

「返してください だろ?」

紫村くんが…携帯を開けた!!パスコードを解読?!

「え!ちょっと!!」

私は必死に手を上げて携帯を取り返そうとする。

「おいなんだよ」

紫村くんも手を上げ…!届かない!

私はぴょんぴょんして取り返そうとする。

「この際だし俺がLINEチェックしてやろう」

「ちょっと!!!!だめ!」

LINEには…紫村くんの愚痴が書いてある!!

紫村くんが…杏とのトークを…あぁぁぁぁ

「…お前」

「は、はい…」

「蒼井のくせに俺のこと愚痴ってんな?」


あぁ…面倒なことになった…


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

愛は愛より出でて愛より愛し @Simana710

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ