悲しいことは何もなかった。

セックスフレンドを愛せる日は来るんじゃないかと思う。

私にいたわけじゃないけれど。近くにそういう人がいるわけではないけれど。


恋人を愛せなくなる日も来ると思う。

いつかは溶けきってなくなってしまうこと。

どうしようもなくこみ上げる愛しさも。

何もかもが感じなくなってしまうだろう。

するり、

手が離れてしまう。名残惜しそうに手を伸ばすのはどちらだろうか。


苦しいほどに愛し愛されている関係でも、いつか消えてしまう。

どれだけ大事に大事に愛しても、乱暴に喉奥まで突くような愛し方でも。

さようならを言う。どちらかが言ってしまう。逝ってしまう。


きっと私は、もっと愛してると言えばよかった。もっと素直に会いたいと言えばよかったなんてくだらないことで数カ月、数年は悩むことだろう。たまには泣くだろう。


その間にまた恋をして。愛して。


繰り返すんだろうなあ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

そして、こうなったのは僕のせい。 @aquapanda

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る