第6話「開票!」
スーパーサンデーで感触を得ていたオリオンと責任党だったが、次の日の新聞を見て唖然とした。
「な、なんだこれは…!?」
エブリデイ新聞
「スーパーサンデーで、一騎打ちになった両候補ですが、ギア氏の追求に対してオリオン候補からとんでもない発言がたくさん飛び出しました。まず、先日のママオラ海峡での事件では、憲法違反である兵器の使用を認め、さらに、身に危険を感じると自分だけ逃げたのです。防衛官はみな戦死いたしました。」
サンライズ新聞
「オリオン候補は、防衛官の強化や兵器開発が侵略のためであることを明確に『否定しない』といいました。他国を侵略する意図があることを認めたのです。さらに、防衛隊はそれに関して命を懸けるのが当然であるとも語っていました。」
バイアンドバイ新聞
「オリオン候補『正直男女関係はあった。』と認める。男なんだから、魅力的な女性がいたらそういう関係になるのは当たり前。とまさに開き直りの発言。ギア氏に追求
された際には、くだらない質問だと意見を一蹴し不誠実な対応を見せた。選挙前にこのような伝え方をするのは、残念だが、果たして候補の資格があるのだろうか。」
キャピタルスポーツ新聞
「勇者オリオン、股間の勇者発言!勇者オリオンは兵器の開発をするかたわらで、女体の開発を怠っていなかった!股間の勇者の冒険はまだまだ続きそうだ。」
「完全にねつ造じゃないか…。」
「確かに近いような発言をしてるが、文脈が全く違う。これではオリオン候補がただのおかしい候補に映ってしまう。すぐに新聞社に抗議を!」
「すでにしてるのですが、報道の自由を盾に一切譲りません。」
「最近の新聞社はどうなってやがる。全部、平和党よりじゃないか。」
「あと魔族関連記事も多いです。今日も、魔族アイドル『サーキュレート』のライブ大成功の記事が踊っています。」
そう、鋼華にとってはスーパーマンデーでオリオンがどういう発言をしようが、捻じ曲げて報道させるつもりなので関係がなかったのである。
「怖いねぇ、メディアは。せめてラジオでもあれば正しい情報が伝えられたかもしれないのになぁ。」
しみじみと、ツイッターとかがなくてよかったと鋼華は思っていた。
「それにしても、サーキュレートはすごい人気ですね。」
改めて紹介するとサーキュレーターは、シャフトに入ったサキュバス五人で構成されている。フレアー、セーラム、バイオレット、ハーモニー、ペシェによる魔界で一番エロ可愛いダンスユニットだ。
歌は主にハーモニーとフレアーが担当し、他3人はダンス担当である。
「ま、メディア全部のバックアップがあるし、はやって当然だな。」
「女子高生の間では、サキュバスなりきりグッズがはやってるみたいですよ。」
「あと手でSを作るポーズだろ。」
◇ ◇ ◇
さて投票結果が出た。
投票は各地方ごとに即日開票される。
有権者40万人のうち有効投票数30万人(投票率75%)
『イーストエリア(オリオンの出身地)』
オリオン 30000人 ギア 10000人
『ウエストエリア(ギア出身地)』
オリオン 5000人 ギア 75000人
『マウンテンエリア』
オリオン 3000人 ギア 7000人
『シーサイドエリア』
オリオン 10000人 ギア 40000人
『キャピタル(首都)』
オリオン 60000人 ギア 60000人
結果 108、000票と192、000票でギア候補が圧勝した。
キャピタル(首都部で)接戦となったものの地方ではほとんどギア候補が圧勝。
キャピタルでは正しい情報が人づてで伝わったため、新聞によるねつ造が抑えられたが、それでも本来圧勝するはずのオリオンの得票数は、ギアと均衡してしまったのである。
いわゆる特定の基盤を持たない浮動票は、ほとんどギアに流れた。今まで選挙に行かなかった層もサーキュレートが露骨に私たちのために、平和民主党を勝たせてとアピールしたために(シャフトでは選挙違反ではない)、選挙に出向き、かつてないほどの投票率になったのである。
結果、史上初めて、自由責任党が政権を失うことになり。
シャフトではこれは
魔族の思うがままのギアは政権を握るとすぐに、兵器の不当な開発の罪でオリオンに逮捕命令を出したが、オリオンは仲間の手助けによって直ちにデザス王国に亡命をした。
また、正式に魔族に対する攻撃は憲法違反であるという表明を行い、魔族との友好的な対話を目指していくことを発表した。
その全権大使にチームサーキュレートが就任し、これをもってサーキュレートは国民的アイドルとして認められるようになった。
さらにコルド帝国と同盟関係を結び、また軍事技術を共同開発していくこととなった。これに関して、もちろん、アサマ連邦、デザス王国は遺憾の意を表明するのだが、少し後の話となる。
コルドにシャフトの軍事技術が提供されることで、実質魔族が開発能力を手に入れることに等しくなった。
「狙い通りでしたね、ゴーガ様。」
連絡役のフォルトナがそういう。なんだかんだで鋼華はフォルトナと関係は持たなかった、結局、毎日ルーシアとイチャイチャしていた。フォルトナは不満そうだったが以前のゴーガどういう対応をしていたかわからない鋼華には無理のない話であった。
「そうだな、やはり選挙戦に必要なのは情報操作だ。マスコミさえ押さえてあれば、シャフトの世論を操るのはたやすいよ。これでしばらくシャフトは魔族の思うままだ。」
全く被害を受けることなく鋼華はこのシャフト王国を実質支配下に入れることに成功したのだった。
そしてこの選挙より1か月後、シャフトは隣国アサマ連邦から宣戦布告を受けることになる。
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