第21話「シャフト選挙戦」
そうして、5人のサキュバス、フレアー、セーラム、バイオレット、ハーモニーそれにルーシアの代わりに新人のペシェがシャフトに送られて、それぞれ、ターゲットの魅了に向かった。
彼らは、コルドの外交ルートを通じて、魔族でありながらも存在を隠してシャフト内に侵入することができた。
まず、フレアーがシャフトの平和民主党の党首である『ギア』候補を
平和民主党は、シャフト憲法第9条の徹底的な堅守を目指していて、防衛隊は違憲、そこにお金を使うくらいなら、社会保障費を増やしたり、消費是を下げろと主張してる。
そして、フレアーに魅了されたギアーは、魔族を攻撃することも平和主義の憲法違反になるのだと主張するようになる。
これは、しかし逆に平和民主党の支持率を下げてしまうことになった。
一方で、他の4人は各新聞社のマスコミ対策に走った。
新聞社にかかわる主要ポストの人間を徹底的にサキュバスの力で、言いなりにさせていったのである。
まさに、このマスコミ対策が今回の選挙戦を制していくことになる。
また、マスコミ対策のため鋼華は、予想外の奇策に打って出た。
5人のサキュバスを、コルド帝国で今最もあつい魔族系アイドルユニット「サーキュレート」としてシャフトに紹介させたのだ。
もちろんでっち上げだ。
とりあえず形だけつくり、各新聞社に「今一番熱いアイドル」をということで紹介し、新聞の責任者と接触する機会をつくった。
接触さえできれば、魅了することは容易で、そのあとはいわゆるアイドルによる特別接待をマスコミの人間に施していった。
その後、マスコミは、魔族との友愛をマニフェストに掲げる「平和民主党」に有利な報道を続けるようになる、いわゆる偏向報道である。
それこそ徹底的に朝刊も夕刊も、平和党を上げて、責任党を落とした。
徐々に徐々に責任党の支持率は落ちていった。
鋼華にとって予想外だったことがあった。各マスコミが例のサキュバスユニットである「サーキュレート」の写真と記事を掲載すると、予想以上に読者の反響が大きかったのだ。
この国民は、コスプレとか、擬人化が大好きらしく、サーキュレートはズバッとはまった。
『シャフトに来るのはいつだ?』
『ペシェちゃんもえー』
『初ライブはよっ!』
といったサーキュレート待望論が世論を覆うようになったのだ。
◇ ◇ ◇
「というわけで、予想外にサーキュレートが話題です。鋼華様。」
ピアニッシモが、鋼華に報告する。
「…うーん、ライブしなきゃいけないのか…。形だけだったのになぁ。」
「ハーモニーちゃんとかすっごい、お歌が上手ですよ。魔界で2番目にうまいかもしれません。」
「へぇ、一番目は誰なんだ。」
「あれ、ゴーガ様、知らないんですか?わたしですよ。」
「えっ…?そうなんか。」
そういえばアイドルやってるとか言ってたか…。それにしても自分でいうか…。
「まぁ、機会を逃す手はないか。成功すれば魔族に対するイメージアップになるし、ますます平和民主党有利になるだろうしな。」
こうして、鋼華はプロデューサーとしての活動も始めることになった。
選挙前の6月中には、歌と踊りを完成させデビュー曲を出そう。最終的に目指すは
シャフトアリーナだ!
「歌と踊りの指導は我々、ダークエルフに任せてください。全面バックアップです。」
ピアニッシモは鋼華以上にノリノリだった。
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