今日世界が滅ぶ

@remiru

第1話 学校~始まり~

「痛って~どうなってんだよ一体?」

 正直、自分に何が起きたか当の本人にも理解できていなかったが、目の前に広がる無残な光景に目を疑った。そこに広がるのは血と肉片、先ほどまでともに授業を受けていたであろうクラスメートの残骸であった。

「!!?ヴォえぇぇぇ、ハァハァなんでだよどうしてこんなことになってんだよぉ」

 先ほどまでの日常が、一瞬にして¨非日常¨へと変わったのだから無理もない、それを受け入れられることのほうが異常である。

「と、とにかくけ、警察!」

 足元に転がったカバンの中からスマートフォンを取り出し震えた手をどうにか抑えながらロックを解除したが、電波は届いてはいなかった。

「は???なんで大事な時に使えねーんだよ!」

「クソ!!何が起こったんだよ!」

 ――(キーンコーンカーンコーン)始業のチャイムが鳴り授業が始まる。席に着くと隣の席から自分を呼ぶ声が聞こえた。

「、、、おい!聞いてんのか、タクミ!!」

「なんだよ、朝からうるせーなー」

隣にいるのは滝本たきもとレン、小学校からの仲で腐れ縁。

「んだよー、その言い方ちょっとはお礼ぐらいってもいいだろう。ってかお前、俺が連絡してやらなかったら遅刻だったじゃねーか!!」

「ん?あぁ、朝来る道間違えてよ。」

「ふーん、間違えたねぇ」

「んだよ、嘘じゃねーよ」

「委員長さんも心配してたぞ」

 妙にニヤついたレンの顔を流しつつ、委員長を見た。崎本さきもと沙絵さえタクミとレンの幼馴染である。

「おい!何ボーっとしてんだよ!!」

「ん?なんか言ったか?」

「なんだよ、聞いてないのかよ!朝のニュースだよ!」

 妙に目を輝かせたレンが問いかけた。

「ニュース?なんかあったのか。」

「んだよー、つまんねーなー朝のニュースくらい確認しないとモテねーぞ!」

「余計なお世話だ、そんで?なんだよ」

「北中央病院あんだろ?そこの精神病棟の患者が暴れて集団で脱走したらしいぞ」

「なんだそれ、っとそういえば朝バスに乗ってくるときに病院前にやたら警官がいたのはそれか?」

「なんだよお前見たのか?どうだった??」

「うるさいぞ!!」

 より一層目を輝かせたレンに食いつかれ痺れを切らした先生がレンを黙らせる。

「っちぇ、またあとで聞かせろよ!」

 タクミはレンからの執拗な質問から逃れる事が出来静かな時間が訪れ、タクミは机に張り付くように眠りに落ちた。

 平凡で退屈なが過ぎていく・・・。

「ドォォォォオオオン!!!!!」

 耳を切り裂くかのような轟音とともにその爆風らしきものに後ろへ飛ばされていた。――

「、、、爆発して気絶していた?」

「そ、そうだレン!!沙絵!!」

そこにはレンの姿はなく爆発のせいで滅茶苦茶になってしまった教室内を探すのは困難であった。

「だ、誰か!!誰かいないのか!!!!」

取り乱したタクミは声を張り上げながら廊下を走り出した。

「誰かー!誰かいませんかー!!」

 走っていると目の前には女生徒が立っていた。

「あ、あのすいません!教室で人が死んでいるんです!助けを呼びましょう!!」

「うっぅぅぅ、アガァア」

 女子生徒から発せられている声なのかとても少女のものとは思えないような小さなうなり声が聞こえた。

「だ、大丈夫ですか??」

振り返った少女の腹部には刃物で切り裂かれたような横一線の切り傷がありそこからは少女の臓物が顔を見せていた。

「え!!!?大丈夫ですか???救急車呼ばないと!!」

 タクミは少女に近づき少女を座らせようとしたが、次の瞬間少女に手をつかまれた。その力は少女が持つような力ではないと気付いた時には、タクミは少女に押し倒されていた。

「痛ってえええええええ!!!!!やめてくれ!!」

「アがぅうううぐらああぁぁ」

少女だと思っていたそのバケモノはタクミの首めがけて噛みつこうとした。

「うゎゎああああああ!!!助けてくれぇぇぇ」

「ゴッ!!」

 鈍い音とともにバケモノは一気に力が抜けタクミの横へ倒れこんだ。タクミには何が起きたのかわからなかったが、目を開けるとそこには黒い髪の少女が血のべっとりと付いたバットを持っていた。

「君が助けてくれたの??」

「ええそうよ、早く立ちなさい!ぐずぐずしてる暇はないわよ!」

 先ほどまで死体やバケモノしか見ていなかったタクミはやっと言葉を交わせる相手を見つけ少し安堵していた。

「助けてくれてありがとう、俺は2年の¨清水タクミ¨。」

「えぇーと君の名前は?」

「私は3年の新見三郷にいみみさとよ、よろしくね。」

とても高校3年生とは思えないほど小柄な姿に目を疑ったタクミであったが、そんなことよりも今まで起きたことを三郷に聞かせた。

「そうね、私のクラスも大体同じよ。とりあえずここから逃げましょう。」

「先輩、さっきの襲ってきた子は何なんですか??」

「私も詳しいことは把握できていないけど、死んだ人間が襲ってきているの。」

 タクミは先輩の突拍子もない言葉に唖然とした。

「信じろっていうのも無理な話だけど、お願い私を信じて力を貸して。」

「俺にどうしろっていうんですか??」

「とにかくここ出ましょ。」


to be continued







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る