ブランコ
船着き場を出ると、色とりどりの花で縁取られた美しい並木道がありました。道は大きな公園の真ん中を通って続いています。
渡し守の言ったとおり、街の入り口には大きな時計塔と門がありました。時計塔のてっぺんでは、星屑でできたブランコをこぎながら、雉白もようの猫がうたっていました。
仔猫たちが見上げていると、星屑のブランコはするすると仔猫たちの前まで降りてきました。
黒い仔猫がたずねました。
「何をしていたの?」
雉白もようの猫は、ブランコに乗ったまま答えました。
「歌をうたっていたんだよ」
次に、白い仔猫がたずねました。
「あなたが、渡し守さんの言っていた歌うたいの猫?」
「渡し守さんがそう言っていたのなら、きっと、そうさ」
歌うたいの猫は灰色の仔猫を見ました。灰色の猫も何か質問するだろうと思ったのです。
でも、灰色の仔猫はふたりと違って、うつむいたままで何もたずねませんでした。
歌うたいの猫は、空を見上げました。
「雨が降ってくるよ」
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