仔猫
住み慣れた家を出て、猫はひとりで船着き場に向かいました。荷物は重い上に、猫は年を取っていましたから、船着き場はとても遠くに思えました。
息を切らし切らし歩いて行くと、道の真ん中に箱がひとつ捨ててあります。中を
猫は仔猫が可哀相になって、旅立つときに持たせてもらったごはんをあげました。仔猫はあっという間に全部食べてしまいましたが、まだ怯えて不安そうでした。
他になにかあげるものはないかと、猫が荷物の中を探すとおもちゃが一つ入っていました。このおもちゃは猫の一番のお気に入りで、飼い主だった人が手作りしてくれたものです。
猫は、その人のことを「おかあさん」と呼んでいました。おかあさんは、猫をとても大切にしていました。おかあさんが猫のことが大好きなように、猫も、おかあさんのことが大好きでした。
猫がおもちゃをあげると、仔猫の震えはやっとおさまりました。
猫はなんだか急に淋しくなって、おもちゃを返してもらいたくなりました。でも、これから旅に出るのだし、このおもちゃで仔猫の不安が消えるのならそれでいいんだと、猫は無理矢理自分に言い聞かせました。
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