過去2
魔界夜祭。この魔界が、熱気と歓喜に覆われる日。この魔界夜祭を待っている者が、どれだけの数いるのだろうか。そんな中、その日が来て欲しくない、そう思う男が一人いた。そう、それが現魔王ルドルフであった。
愛しのエリナを奪われ、この王座までもが奪われようとしている。それは、魔王から全てを奪ったと言っても過言ではない。王座を与えた所で、エリナが帰ってくる保証もない。自分が起こしてしまった過ちを、再度確認するのだった。
「魔王様、騎士団の情報によるとエリナ様は東の塔に幽閉されているようです。どうなさいますか?」
「やめろ、下手に刺激するとエリナに何をされるか...」
あの魔王ともあろう男が、涙を流しそうになるほど四面楚歌だった。下手に行動に出れば、エリナの命はない。嫌でも、あの男の言う事を信じる他無かった。
「分かりました。時間まではまだ少々あります。それまでしっかりと皆で考えましょう」
「魔王様、時間です」
「あぁ」
とうとうこの時間が訪れてしまった。ルドルフの全てが終わる日。その落胆の仕方は、アルバとメルから見ると痛ましい程だった。決意を決め、扉を開けようとした瞬間、アルバが異変に気づく。
「なにかやけに外が騒がしくないですか?」
「...そうか?」
「嫌な予感がします。急ぎましょう」
扉を大きく開け放ち、急いで声の方へと向かう。その歓声は広間の方からだった。
「魔王様、あちら...!?」
「どうしたアル...!?」
2人は同時に息を呑む。そして後を追ってきたメルも息を飲んだ。その理由は至極簡単だった。
___________エリナの首を持つ男が立っていたのだ。
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