炎の守護聖






「舐めるなよ」


その一言と共に、アルバの方へと飛び出す。その動きは先程よりも素早く、1発で息の根を止める気迫だった。


「そちらこそ、舐めるなよ!」


右手に持った剣を振り上げる。それを見て嘲笑うエルメ。そうだ、片手で、あの剣を振るうには間に合わない。そう思った瞬間、アルバは1歩後ろに下がり、体を横に捻る。そう、遠心力を使った剣技だった。

エルメもそれに気づくが、時既に遅く、アルバの剣は、エルメの右肩へと深くえぐっていた。


「チィ!」


その舌打ちと共に後ろに下がるが、肩の傷は明らかに致命傷となっていた。あの深手を負っての連戦は、いささか厳しいように見えた。


「もう、騎士団も到着する来る頃だろう。この試合は決した。諦めて観念しろ」


「試合?何言ってんだ?これは殺し合いだろっ!?どちらかが死ぬまでは終わらねぇ」


そう言うとエルメは自らの体に触り、ボソボソと何かを喋り出した。


「チェック2 アップ」


「まさか!?」


「残念だったな」


ニィと笑うエルメ。その顔は、既に勝利を確信した顔だった。


「まさか最終手段を使う事になるなんて。私が文言を唱える前に殺すべきだったな。その騎士道が自らを殺す事になるんだぜ。」


そう言うとエルメは、太股から短刀を出す。今までのエルメのスピードに加え、更なるスピード、パワーが加わっているだろう。果たして今までのアルバの力で勝てるのか。


「なるほど、そういう事か。ならば私も本気を出させて貰うとしよう。」


そう言うと、アルバも何か呟き出す。


「破壊神ジルブよ。我、炎の守護聖にその祝福の焔を授けよ。」


そう言うと、アルバは剣を天高く突き上げる。その瞬間、アルバの全身を真紅の炎が包み込んだ。


「お前...守護聖か...」


「生半可な気持ちでは騎士団長という地位には着けない。この剣と炎がお前を地獄に送る」


アルバは剣を構えエルメに言葉を投げ放った。


「この炎は貴様が灰になるまで消えないぞ」

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